高い支持でも2018年5月期は減益予想

この人気の理由は、価格の安さにある。

コスモス浮羽店(福岡県うきは市)の7月3~9日のチラシによれば、コカ・コーラ「アクエリアスゼロ2L」が108円、カルビー「ポテトチップスクリスプS」が78円とある。アクエリアスゼロ2Lのメーカー希望小売価格は340円、ポテトチップスクリスプSは実勢価格105円で、比べるとコスモスの安さがよくわかる。コスモスでは特売を廃止し、「エブリデイロープライス」(毎日いつでも安い)を徹底することで、安さを実現している。

コスモス浮羽店(福岡県うきは市)の7月3~9日のチラシより抜粋

だが、顧客から熱い支持を集めるコスモス薬品の2018年5月期連結業績は、減益予想となった。「医薬品も売っているスーパーマーケット」と化したコスモス薬品に対抗すべく、地場スーパーの生き残りをかけた食品安売りが加速し、競争が激化したことが大きな要因だろう。

ドラッグストアの安売りの仕組みは、利益率の高い薬を販売した原資を使って、その他の商品を薄利多売する構造になっている。一般医薬品の通常条件の利益率は、ナショナルブランド商品で35~40%、プライベートブランド商品で50~60%前後。薬の粗利で稼いだ原資で、飲料・加工食品を中心とした食品のみならず、化粧品・トイレタリー商品など通常利益率30%強の商品を値下げしているのだ。

そして、この利益の源となっている薬販売は、未来永劫ドラッグストアの専売特許であるとはいいきれない。薬販売の規制緩和の行方が、ドラッグストア業界の今後を左右する。

一般用医薬品の販売区分は、要指導医薬品から第1~3類医薬品など5段階に分類されている。有資格者ごとに販売が規制されており、要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師のみが販売可能で、確認ツールおよび書面での説明が必要だ。ドラッグストア関係者によると、「調剤薬販売を別とすれば、薬の売り上げのうち、この分類が占める割合は5~10%にしかならない」という。

残りの90%以上の一般用医薬品については、薬剤師または登録販売者がそれぞれの類に合わせ、指定第2類医薬品であれば積極的に、第3類医薬品に関しては必要に応じて情報提供などに努めるという規制となっている。

コンビニの医薬品規制緩和が命運を握る

だが、ドラッグストア関係者たちは、「要指導医薬品と第1類医薬品以外の一般医薬品は、特に購入時にアドバイスを受けることなくトイレタリー製品や化粧品とまとめて購入していることがほとんど」という。先述の薬事法がきちんと運用されているケースはほぼないという見解が多い。

要指導医薬品を除く第1類、第2類、第3類のすべての一般用医薬品は、2014年から一定条件のもと、ネット販売が解禁されている。コンビニでは一足先に2004年から解禁されており、薬剤師がいる店舗なら第2類、第3類を買うことができる。これをさらに規制緩和し、ネット販売同様に薬剤師や登録販売者がいなくても販売できるように法整備される可能性が高くなってきている。食品などの薄利多売の優位性がなくなれば、ドラッグストアは業態としての利益体制の見直しが必須となるだろう。