自社のユニークな店舗を使った合同就活懇親会

このように、決して学生から見て人気ではないパチンコ業界を、わざわざ新卒で選ぶ学生は多くありません。そこで私は、会社のビジョンとビジネスモデルの面白みを表現し、媒体を一切使わず、上位校をターゲティングしたイベントに参加することでピンポイント採用をしてきました。フィールズは、遊技機の企画開発だけでなく、IP(知的財産)をクロスメディアで展開する総合エンターテインメント企業というユニークなビジネスモデルだったこともあり、東大大学院、青学大学院、早稲田大、慶応大、上智大など、高学歴で優秀な人財の採用に成功しました。

礒谷 幸始(著)『上位5%で辞めない人財を採る方法77―1万人を面接してわかった』(プレジデント社)

次に後者の例。こちらは飲食業界での話です。飲食業界はご存じの通り、人手不足産業の代名詞でもあります。リクナビやマイナビに登録している就活生で、希望する業界で飲食業界にチェックを付けている学生は約3万人強(複数回答可の形式)と言われています。飲食企業は、この3万人を奪い合うという採用をしている状態です。

そこで考えたのが、他業界と一緒に就活イベントを行うことでした。90店舗以上の飲食店を展開する東証一部上場の飲食企業でヒューマンキャピタル部門の責任者をしていたときに、優秀人財の採用に積極的にチャレンジされている企業と合同で就活イベントを行いました。

飲食店の場合、自社のユニークな店舗空間と料理、ドリンク、現場のスタッフを活用しない手はありません。「うちの店舗を使って、合同就活懇親会をやりませんか?」と私のほうから提案したのです。先方の人事部長も素晴らしい方で、この企画に乗っていただけました。

就活生を互いに5人ずつ集めて、飲食費用は両社折半。その懇親会に、先方の人事部長が呼んだ早稲田大学の男子学生がいたのですが、結果的に私がその学生を採用することになりました。つまり、その学生については当社の母集団形成のための費用は0円です。しかも、営業には売上がつきます。このような方法もあるのです。

他業界とのコラボは他にも、店舗ビジネス系や人材系の企業と合同で、ハロウィン就活イベント、クリスマス就活イベント、BBQ就活イベントなどを開催しました。コラボによる最大の成果は、2シーズンで5倍以上のエントリー数を獲得することができ、採用基準を上げて優秀な学生を採用できる仕組みを作れたことです。