違法配信された音楽や映像を閲覧したり、ダウンロードしたりすることも、現行法では刑事罰の対象とはならない。しかし配信方法の違法性に関係なく、著作権者の許可なく無断で送信や公開を行えば著作権法違反となる。

ここ数年、違法配信の主な手段として「Share(シェア)」や「Winny(ウィニー)」と呼ばれるファイル共有ソフトが使われている。他人のパソコンにあるファイルをネットワークを通じてやり取りするソフトで、膨大な量の音楽や映像などが“共有”されている。

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ファイル共有ソフトを利用すること自体が直ちに違法行為になるわけではないが、違法コンテンツが多数流通する状況に関わることで違法行為に加担することになる可能性もあり、利用にあたっては十分な注意が必要となる。

ファイル共有ソフトの利用をめぐっては、すでに一部の利用者が逮捕されている。04年5月には「ウィニー」の開発者も著作権法違反幇助罪(著作権法119条)の疑いで逮捕、起訴された。開発者は一審の京都地裁で罰金150万円の有罪判決を受け、現在は大阪高裁で控訴審が行われている。

さらに10年1月に施行される改正著作権法では、新たに、違法配信されている音楽や映像を違法と知りつつダウンロードする行為が禁止された。違反者に対する罰則はないが、明らかに違法となったことで、著作権者は違法ダウンロードに対して損害賠償を求めやすくなった。

今後、違法に配信された音楽や映像をため込んだユーザーは、著作権者から訴えられることがあるかもしれない。高をくくらないほうがいいだろう。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=成松 哲)