時短勤務でわかる同僚の気遣い加減
【流通】確かに女性の中にはぶりっこして男性上司にすり寄り、気に入られようとする人もいる。それにコロッと騙される男性上司も多い(笑)。それでいて仕事ができたら加点されて昇格も早くなる。ほかの女性たちはそれをしっかりと見ているし、「あの人、うまくやっているわね」と妬みが入り交じった冷ややかな態度になります。
課長に気に入られた女性社員が子どもを産んで時短勤務になったことがあります。上司がやさしくフォローしてくれるので、それに甘えて仕事が途中でも時間になるとさっさと退社する。同僚の女性にも「子どもが病気なので休みます。仕事はよろしくね」と言うだけで相手を気遣おうともしない。
しだいに女性たちが上からの指示を彼女に伝えない、取引先から電話がかかってきても取り次がないといったイジメに発展していったのです。さらにはいままで親しかった同僚もあまり口をきかなくなり、集団で彼女を無視するようになった。一種のマタハラですが、実際に社員食堂で彼女が1人だけで隅のテーブルで食事をしているのを見たことがあります。以前は女性のグループと食事をしていたのですが。結局職場での居場所がなくなり、最後は「子育てとの両立が難しい」という理由で退職した。
【銀行】本来は男性上司が周囲の変化に気づいて配慮する必要があるのですが、なかなかできないですね。
【司会】いままで信頼していたのに何かのきっかけで裏切られた、あるいは信用しなくなったという経験はありますか。
【銀行】一瞬にして信用を失ったというのは東日本大震災のときです。無断で出社してこない社員もいれば、部下を置いてさっさと帰宅する部長もいました。普段、部長の仕事はそこまでは忙しくないのですが、いざ会社の危機という状況になれば、先頭に立って迅速に事にあたるのが本来の仕事。どうしてこんな人が部長なのかとはっきりわかったし、部下の信頼を失ったことで二度と会社では浮かばれませんね。
【ゼネコン】うちも埼玉の支社から「支社長が会社へ戻ってきません」と連絡が本社に入りました。最初は被災したのかと心配しましたが、そのまま大阪の実家に帰ったらしい。本人は両親の介護が心配で、と言っていましたが、放射能が怖くて逃げ出したらしいのです。それでよく現場の指揮官が務まるものだと呆れました。経営トップも「そんなやつは辞めさせろ」と怒っていました。