なぜ芸能リポーターには「スクープ」が集まるのだろうか。またそうした「噂」はどのように収集し、どう利用すればいいのだろうか。日々さまざまな噂に接している芸能リポーターの井上公造氏に、「噂の集め方」と「ガセネタの流し方」について聞いた――。

詐欺師が使うウソを信じさせる方法

情報や噂話には、流して得をするものと損をするものがあります。意図的に誰かを陥れるためにつく嘘は論外。自分の評判を落とすだけです。積極的に流すべきなのは、提供することによって自分の評価が上がる内容のもの。情報を流す際には、誰に評価されたいかも意識しましょう。

たとえば、自分の会社と得意先の企業との間にトラブルが起きたとします。そのときに、相手の会社のどの人を当たると問題を早く解決できるか、上司に自分が持っている情報を提供する。すると、問題は解決され、上司からの評価も上がる。自分の株を上げる情報をここぞというときに解禁する。これが、コツです。

どうしても悪い情報や、噂を流したい? これまでの経験でいうと、そのときは「餌撒き」が効きます。詐欺によくあるパターンです。

たとえば、最初に5万円借りにいって、期日内にきっちり返済する。同じ相手に立て続けに10万円借りて、これもまた期日内に、今度は利子もつけて11万円で返す。そして3度目に30万円借りにいったとき、相手は「きちんと返済してくれる人だ」と信用しているから、またお金を貸してくれる。だけど、借りた人は、大金を借りたままいなくなってしまう。5万円、10万円を借りた行為は、相手に自分を信用させ、油断させるための「餌撒き」なんです。最初に餌撒きされているから、騙されてしまうんですね。

我々の業界でたとえるならば、2回続けて本当のネタを持ってきた人が、3回目にガセネタを持ってきてもつい信じてしまうということが多々あります。悪い噂や情報を敢えて流したいときは、まずは「あの人の流す情報や噂は当たっている」と信じ込ませるといいでしょう。