さらに飛行の方法についても制限がある。国交大臣の承認が必要な飛行方法は、夜間飛行、目視外飛行、対象に30mよりも近づく、イベント上空の飛行、危険物の輸送、物件投下などである。
警備分野ではすでに目視外飛行を活用
では今後のドローンの事業化は、どのように進むのか。内閣府に設置された「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議(小型無人機の官民協議会)」では、ドローンの発展段階を4レベルに分け、課題を設定している。レベル1が目視内操縦、レベル2が目視内飛行(自律飛行)で、ここまではすでに実現している。次いでレベル3として18年ごろをめどに無人地帯での目視外飛行、レベル4として20年ごろに有人地帯での目視外飛行が目標として掲げられている。具体的なイメージとしては、レベル3が離島や山間部への荷物配送や被災地の状況調査や捜索など、レベル4が都市の物流、警備あるいは発災直後の避難誘導などだ。
ドローンの事業化に詳しい三菱総合研究所科学・安全事業本部の大木孝主任研究員によればドローンのさらならなる活用に当たっては「目視外飛行の実現が重要なポイントとなる」と、指摘する。
ドローンの利用分野としては、現在、物流、インフラ維持管理(橋や鉄塔などの巡視・点検など)、建設(ドローンによる写真測量など)、農業、警備など5つの分野が想定されている。すでに建設や警備はビジネス化を実現。中でも興味深いのが、警備大手のセコムがドローンを使ってサービスしている施設内巡回や異常発生時の緊急対応である。操縦者はコントロールセンターにいるため、肉眼でドローンを目視しているわけではない。目視外飛行を活用したサービスの先駆的事例と言える。