【2】Hello Doctor
南アフリカ発の「Hello Doctor」も、モバイル端末を使って医療情報と医師へのアクセスを可能にするサービスだ。ユーザーは電話かチャットで医師に相談することができる。ヘルスケアに関する有用な情報も配信されているほか、症状チェック機能では、気になる症状を入力すると可能性のある病気をリストアップしてくれる。その後、すぐに医師とチャットや電話で相談できるサービスも提供している。
「Hello Doctor」はケニアでも利用可能で、こちらでは上記以外にも医療費をめぐるおカネのやりとり機能がついている。これは、ケニアのモバイルネットワーク業者「Safaricom(サファリコム)」とアフリカ商業銀行が共同で運営する新サービス「M-Shwari」との提携によるものだ。「M-Shwari」を利用することで、ユーザーはモバイル端末上で治療に必要な額の借り入れと、医療費用の貯金が可能になっている。ケニア担当責任者は、「『M-Shwari』が銀行をディスラプト(破壊)したように、医療業界もそれらの概念を用いることによってディスラプトできるのではないかと考えた」と言う。
ユーザーは約300円の月額費用を納めることによって、医療費の貯金、必要時の借り入れができ、さらに医師への相談が24時間可能になる。また、相談後に処方箋はSMSで送付され、ユーザーは近くの薬局で処方箋通りの薬を購入するだけで済むようになった。「Hello Doctor」は、本気でアフリカの医療業界に変革を起こそうとしているようだ。
【3】ConnectMed
南アフリカ発の「ConnectMed」では、医師がビデオチャットで診断・処方をしてくれる。最初のビデオ診察は無料で受けることができるが、2回目からは約1200円を自費で払う必要がある。
今年中のケニアへの展開も視野に入れているとのこと。理由としては、ケニアでは医師が不足しているほか、コストや立地によって医療サービスを受けづらいこと、さらには、せっかく病院を訪れても医師による診察時間がかなり限られていることが挙げられている。テスト的にケニアでも導入したところ、特に老人と若者による登録があったという。老人にとっては、自分の足で病院にアクセスするのが難しい状況が続いている。若者に関しては、リプロダクティブヘルスやメンタルヘルスに関する相談が多かったとのことだ。
こうした需要を受けて、今後は薬局やネットカフェ等でも利用できるように端末にサービスをセットし、誰もがどこでも診察を利用できる状態を目指していく。
医療アクセス難地域ほど「未然ケア」が必要
患者自身が正しい情報を知るようになれば、ある程度未然に病気を防ぐことができるようになる。重症になる前の段階にフォーカスして、必要な情報の配信や、テキストチャット、ビデオチャットによる医療サービスを提供しているのがアフリカの医療スタートアップの特徴である。医療へのアクセスが困難な地域に住む患者にとっては、オンラインで必要な情報を得ることができ、簡単な診断まで受けられるようになれば、便利という言葉では表しきれないほどだろう。
アフリカの医療系スタートアップはいま花盛り。今後はオンラインによる医療保険の提供など、さらに進化したものが登場してくることになりそうだ。