祐天寺界隈には生まれたときから住んでいます。事務所も駅近くの路地にあり、「ミタケ・オアシン」の最初の店舗は路地の入り口にあったんです。エスニック中心の多国籍料理で、すごくおいしくて事務所のスタッフと毎日のように通っていました。

絵本・童話作家
きむら ゆういち

1948年、東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、テレビ幼児番組のブレーンなどを経て、絵本・童話作家に。累計350万部の『あらしのよるに』、累計1200万部の『あかちゃんのあそびえほん』シリーズなど著書は600冊を超える。今年2月に大人の絵本『そのままのキミがすき』『あなたなんてだいきらい』を上梓。
 

それぞれ好きなメニューがあり、僕はラフテー丼と迷って、大抵、ポキ丼を頼む。マグロとアボカドの丼だからヘルシーかなと。タイカレーファンのスタッフはうちをやめても、カレー目当てに祐天寺に来るほどです。

「来々軒」は創業80年以上の中華料理店。味が良いのはもちろん、料理がでてくるのが早く、店が広くて大勢でも行きやすい。僕は10年前から絵本講座を開いていて、午前の部が終わると受講生とここでランチをするのが恒例です。麻婆豆腐や酢豚などの料理を頼み、十数人でシェアして食べるのが楽しいんです。

4年前に結婚した38歳年下の妻はスタッフであり、絵本講座の受講生でもあるので、どちらの店にも一緒に行きます。ただ、利用するのはもっぱら昼。夜は付き合いで外食が多く、予定がないときは健康のため妻の手料理を食べるようにしています。クックパッドを参考にしているみたいで、料理は上手ですよ。

そんな妻に贈った僕の作品が、『そのままのキミがすき』。「お化粧してなくても、漢字が書けなくても、そのままのキミでいいんだよ」という気持ちを伝える大人の絵本です。女性から男性に向けた『あなたなんてだいきらい』もあり、2冊同時に今年2月に出版しました。バレンタインやホワイトデーに贈ってもらえれば、という戦略です。

僕が本を書くときは、必ず、販売プロモーションまで練っています。作品はタレントと同じ。どうしたら活躍できるかを考えながら世に送り出すわけです。

その点、代表作の『あらしのよるに』は非常によくできた子で、演劇、映画、アニメなど想定以上の活躍をしてくれた。実はこの本、寝室の入り口からベッドまでの3歩で構想が生まれ、原稿はファミレスで書いたんです。『あかちゃんのあそびえほん』シリーズも、ファミレスの紙ナプキンを開いたり閉じたりして仕掛けを考えました。仕事場はちゃんとありますが、テレビやら漫画やら誘惑が多くて。そういう意味では、近所のファミレスも僕の行きつけの店といえますね。