即時売却をしない「ストーリー」が重要
メディアで相次いで取り上げられたタワーマンション節税に対し、2015年11月、国税庁が課税を強化する方針だと、新聞各紙が報じました。相続開始直前の購入や居住実態がないようなケースでは厳しいチェックを受けることになります。
私の事務所にもタワーマンション節税についての相談がたびたび持ち込まれています。私は「相続税の圧縮が目的の場合にはおすすめできない」と話しています。言い換えれば、中長期の財産運用の一環としてタワーマンションを購入するのであれば、特に問題はないということです。
私は「ストーリーが重要です」と説明しています。購入の目的はなにか。誰が住むのか。使用頻度はどれぐらいなのか。こうした事実関係があいまいなままに相続目的で購入し、被相続人が亡くなり次第売却するようでは、「いきすぎた節税」とみられてしまう可能性が高いでしょう。
国税庁は現場での運用を「方針」という形で、税制調査会の議論に応じて変えることがあります。しかし法律が変わったわけではありません。説得力のあるストーリーがあれば、法律に則った適用が受けられます。自分だけで勝手に判断せず、ぜひ専門家に相談してください。
板村和俊
税理士法人エスネットワークス常務理事。税理士。富裕層や企業オーナーの相続・事業承継コンサルティング、組織再編にかかわる税務アドバイザリーなどを手がける。編著に『税務からみた会社議事録作成のポイントと文例』『Q&A会社税務のポイント』。
税理士法人エスネットワークス常務理事。税理士。富裕層や企業オーナーの相続・事業承継コンサルティング、組織再編にかかわる税務アドバイザリーなどを手がける。編著に『税務からみた会社議事録作成のポイントと文例』『Q&A会社税務のポイント』。
(構成=大山くまお)