技術自前主義では世界に追い付けない
ただ、これは日本をよく知る私たちにとってはありがたい状況といえます。ほかの投資家が気づく前に投資ができるのですから、このチャンスを逃さない手はありません。実際、私たちはすでに高い技術力を有する日本のスタートアップにいくつか投資をしています。具体的にあげていきましょう。
AI関連では、マーケティングを支援するプラットフォームを提供するメタップスに投資しています。フィンテックでは、個人向け家計簿サービスや法人向け経理サービスを提供しているマネーフォワードも楽しみ。ヘルスケアでは、ダイエット管理サービスでナンバーワンのFiNCにも期待しています。
アニメーション分野では、「秘密結社鷹の爪」というフラッシュアニメで有名なDLEに投資をしています。じつはFenox VCが日本で初めて投資した会社がDLEです。同社は2014年3月に東証マザーズに上場して、今年4月には東証一部に上場しました。VCとして金銭的利益を確保できたおかげで、その後の投資にも弾みがつきました。
ほかに、電動バイクのテラモーターズや、オンライン旅行業とベトナムでのITオフショア開発を行うエボラブルアジアも、私たちのグローバル展開のノウハウをうまく活用して活動しています。どちらも日本のみならず、これからアジアで存在感を増していくでしょう。
さて、私たちは日本のスタートアップに投資をする一方で、日本の大企業ともお付き合いがあります。
日本の企業はもともと高い技術力を持ち、自前で技術開発してきました。しかし、世界のトレンドの変化は早く、自前主義ではついていけなくなっています。それを痛感した企業が、海外のベンチャー企業と業務提携をしたり、買収をして、技術を取り込もうとしているのです。
とはいえ、海外でどのようなスタートアップが、どのような技術を持っているのか、日本からは見えにくいものです。そこでFenoxが目となり耳となり、トップの技術を持っている企業を紹介しています。具体的には、セガサミー、帝人グループのインフォコム、イノテック、IMJ、CACホールディングスといった日本企業15社が、私たちを通して海外の企業にリーチしようとしています。