マクドナルドを追撃するのはどこか?

フレッシュネスバーガーを買収したのは、正確にいえばコロワイドではなく、同社の子会社のレインズなのだが、両社にとってもファーストフード業態は、初めての参入である。これは裏を返せば、自社のブランドポートフォリオに欠けていた部分をM&Aによって補完した形となる。今後、コロワイドは、牛角で培ったフランチャイズノウハウを活用して、フレッシュネスバーガーでも出店攻勢をかけていくとしている。

一方、ハンバーガーで国内6位のファーストキッチンは、1977年にサントリーの子会社として発足した老舗だ。第1号店は池袋で、現在は約130店舗を展開しているが、16年6月、同じハンバーガーチェーンのウェンディーズ・ジャパンがファーストキッチンを買収すると発表した。

ウェンディーズは米国発祥で、28カ国に6500店を展開している。日本には1980年に上陸したが、経営不振のため2009年に撤退していた。その後、日本に「ドミノ・ピザ」を持ち込んだアーネスト・M・比嘉氏が日本展開の権利を得て、2011年に再上陸させた。しかし、出店場所に苦戦し、16年6月時点では国内1店舗にとどまっていた。

ウェンディーズは、本買収を行う前に、ファーストキッチンとのコラボ店を2店舗展開していた。そのコラボ店の業績が好調だったからこそ、今回の買収が実現したという。今後、コラボ店を増やしていくのかということは決めてはいないとのことだが、オーナーの変わったファーストキッチンのリブランドをどのように進めようとしているのか、非常に興味深いところである。

日本のハンバーガー業界の店舗数ランキングを見ておこう。

【1位】マクドナルド ……2956店舗(16年12月末時点)
【2位】モスバーガー ……1359店舗(16年12月末時点)
【3位】ケンタッキー ……1154店舗(16年12月末時点)
【4位】ロッテリア ……368店舗(17年4月11日時点)

その次に続くのが約160店舗のフレッシュネスバーガーと約130店舗のファーストキッチンとなる。この2社が、新しい資本のもと、どのような戦略で上位4社と戦っていくのか。はたまた、さらなるM&Aが起きるのか。そして、新興のハンバーガーチェーンが本当に台頭するのか。ハンバーガー市場をめぐる戦いは、新たな局面を迎えている。

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