もともと男女かかわらず働ける仕事を志した山田さんは、不動産販売の営業職に就いた。その後、自分が目指すキャリアを積むために選んだのがJ&Jだった。メディカル カンパニーの営業として採用され、4年目でマネジャーに。その頃から「WLI」に参加し始めた。

スパイン事業部 営業戦略企画 シニアマネジャー山田育代さん

「マネジャーとして多様な部下を持つようになり、自分も勉強しなければと切実に思ったんです。あとに続く人材を育てるためには、自分のやり方だけではついてこないこともわかる。私はシングルで男性と同じように働いてきたけれど、『厳しすぎる』という女性たちの声も耳に入ってくる。ならば自分を変える環境に置いてみようと」

2015年から「WLI」のリーダーを引き受け、運営メンバーも新規に公募した。現在は80数人にまで増え、男性社員も4割ほど。職種やビジネスモデルも異なるメンバーから学ぶことが多い。2016年11月には「O&O」との合同カンファレンスを企画し、もっと広くダイバーシティを捉えられる場になればと、山田さんは願っている。

こうして「O&O」の活動から新たな人の輪が広がっている。田口さんのもとには「がんばって!」「応援しています」と激励のメールが届き、幼い子どもを持つ女性からも「サポーターになりたい」という希望があった。LGBTの当事者でない人からも共感を得られていることが励みとなり、活動に取り組む意欲も変わったと実感している。

「誰しも人に言えないことがあったり、これを言ったら嫌われるだろうか、居場所がなくなるのではと不安を抱えていたりする。日本でダイバーシティというと女性にフォーカスされがちですが、目に見えない違いはたくさんあって、そうした違いをやっと口に出せる環境になってきたかなと思うんです」

一人一人の違いも個性として、互いに認めあう。それに気づかせてくれる一つの視点が「ダイバーシティ」ではと田口さんは考える。J&Jにはチャレンジし続ける風土があり、それが企業を変える機動力となる。だからこそ声をあげ、新たなチャレンジをしていきたい。「そこでまた一人でもハッピーになれる人が増えたらいいですね」。その夢がいつも根底にある。

市来朋久=撮影