株高の主役は外国人投資家だった

安倍首相は今年6月、消費増税の再延期と大規模な景気対策の実施を表明したが、市場の反応は鈍かった。最大の理由は、アベノミクスに期待して投資を続けてきた外国人投資家が日本市場から撤退し、市場参加者が少なくなっているからである。

日本の株式市場はしばらくの間、閑散相場が続く可能性が高まっている。

消費増税の再延期と大型の補正予算の実施は、本来であれば市場に大きなインパクトをもたらすはずだった。だが、安倍氏が再延期を表明した後も、株式市場はあまり目立った動きを見せていない。

この傾向は今に始まったことではなく、今年に入ってずっと同じような状態が続いていた。2月時点における東証一部の1日あたり平均売買代金は3兆円を突破していたが、4月に入ると2兆6000億円と大きく落ち込み、増税再延期を表明する直前の5月30日には、1兆5600億円と今年最低水準まで下落していた。市場関係者の多くは、この先も、売買はあまり活発にならないと見ている。その理由は、日本市場における売買の主役であった外国人投資家がすでに撤退してしまったからである。

かつて日本の株式市場はニューヨークと並ぶ主要市場と見なされていたが、バブル崩壊以後、日本経済の相対的な地位の低下に伴い、アジアのリージョナル(地域)マーケットと認識される傾向が強くなってきた。

その結果、マクロ的な成長期待を前提に、長期的視点で投資を行う機関投資家は日本市場を敬遠するようになり、代わりに短期的な売り買いを繰り返す、ヘッジファンドを中心とした投機筋が売買の主役を担うようになってきた。

しかしながら安倍政権が成立し、日銀が量的緩和策をスタートさせたことで、状況が大きく変わった。日本経済の長期的な成長を期待した投資家が再び日本株に投資するようになってきたのである。