空気は読まないほうがいい

【白河】女性社員に日々投げかけるメッセージなどがあれば教えてください。多分百貨店に入る女性は現場が好きで、マネジメントにはなりたくない人もいるのではと思います。

【大西】こうあるべきだという思いを持っているのは、女性のほうが多いんです。自分が権限を持てば、いろいろなことができやすくなります。偉くなるとか、ならないではなく、組織の中でしっかり自分の影響力が出せるポジションに早く就くということですね。

全体感としては、もう5年後、10年後は、女性がこの会社を支えて行くということは、常々言っています。自分で主体的に動かないとか、上司の顔を見るといったことは、女性はあまりしないんじゃないですか。

【白河】そうですね。逆に見なさすぎるところはあるのかもしれない。

【大西】そういうところがいいんですよ。男性はどうしても、上を見て仕事をする特性がありますから。われわれの若い頃は、組織というのは、上司に言われたことをやっていればいいという雰囲気がありました。いまはそれではいけないと思います。

【白河】イノベーションを起こすには、逆に空気を読まないぐらいがいいんでしょうね。ある社長は空気を壊す人がイノベーションを起こす人と言っています。それは男性の居心地が悪くなるからすぐにわかるんだそうです。大西さんはそれをわかっていらっしゃる。労働時間の短縮が女性を活性化させるのは、すでにさまざまな事例で証明されています。さらに進めていることはありますか?

【大西】2、3年前などはバイヤーの部署など必ず11時まで人が残業していたのですが、オフィスレイアウトを変えフリースペースにしたら、働き方も変わってきました。最近は9時半ぐらいには誰もいません。売場だけではなく、一部の部門で来年4月からスタッフには在宅勤務をテストトライアルで導入します。40代がトップを担う会社への若返りと、女性の登用をこれからも進めていきます。

【白河】先々ベンチャーのような年齢構成になるかもしれませんね。老舗がそこまで改革するのは、たいへんなことです。私は地方都市によく行きますが、人口20万人ぐらいの都市が一番危機感がなく、人口減少で消滅してしまうと言われるような自治体のほうが思い切ったことをやれるんです。

【大西】やはり危機感でしょうか。ベンチャーとの違いは何かと言えば気概です。当社の35~40歳の社員は資質的にベンチャーの社員に劣っているわけではありません。全員がベンチャーのトップぐらいの気概を持ったら、本当に強い会社になると思っています。