インバウンドへの影響は?

【白河】もうひとつお聞きしたかったのが、インバウンド、特にアジアからの観光客への影響。私はジャカルタに住んでいたので、ある程度アジアの状況が肌感としてわかるのですが、アジアの人は安い人件費で夜中でも買い物ができる状況に慣れている。その人たちがわーっと買い物にきている。その中で時間を短くするのは英断と思います。

【大西】インバウンドに関しては去年がピークでした。東京オリンピック・パラリンピックには4000万人と政府は言いますが、去年やっと2000万人ぐらいです。銀座の外国人のお客さまが25%を超えました。新宿は10%ぐらいです。25%を超えるということは、海外の方に特化して店づくりをしないといけなくなってきますが、当社ではローカルの方にご来店いただきたいと考えています。

パリのある百貨店は、7割が外国人の方です。そうなるとフランスのローカルの人は行かないわけです。お越しいただいた中国人の方、アジアの方に、ちゃんとおもてなしをするのは当たり前なのですが。その人たちを増やそう、頼ろうという目標は持っていません。

【白河】海外の方も、今までのものでは飽き足らなくなってくるということですね。

【大西】本当に日本のいいものをほしいというお客さまに、これからはターゲットを絞っていくことが大事だと考えています。

【白河】お店が開いていればどこでも買えるというのではなくて、ここでしか買えない、この時間内に行くしかないんだ、ということをやっていくんですね。

サービス業に生産性を上げるために

【白河】政府はいま「時間外労働時間の法改正」も視野に入れた長時間労働是正、働き方改革に取り組んでいます。加藤勝信大臣が働き方改革相になりました。ドイツには「閉店法」があって、国が休みをコントロールしている。経団連も金曜日は仕事を早く切り上げて街に出ようとやっています。国がドイツのように労働時間の規制に取り組んでほしいと思われますか?

【大西】望みますね。日本のサービス産業は、欧米に比べると、非常に生産性が低いと思います。

【白河】こんなに一生懸命サービスしているのに。

【大西】そうなんです。ものすごく丁寧にやっている、おもてなし、サービス、接客が、生産性に寄与していない。