結婚・婚活市場も、震災後に目立った盛り上がりを見せている。
帝国ホテル(東京)では5月、ブライダルフェアに訪れる男女の数(組数)が、前年同月比で約1割増えた。
「震災直後で客足が鈍るものと覚悟していたが、われわれにとっても新鮮な驚きだった」(同広報担当 小松崎宇弘氏)
オーネットでも、3~4月、成婚による退会者が前年同月比で2割増。全国の新規入会者も、5月が同30%増、6、7月が同40%増と驚異的な伸びを記録した。
「6月、東京地区に限ると、入会者が前年比で50%も増加。ゴールデンウイークに里帰りして、親御さんに『結婚プレッシャー』を受けた男女も多かったようです」(同・広報担当 松本美紀子氏)
また、オーネットで約15年、結婚アドバイザーを務めている岸野芳子氏は、女性の早婚願望を現場で実感したという。
「相談の場で、『早く結婚したい』『短期で決めたい』と口にする女性が増えた。待てばもっといい男性がいるかもとの意識が、『明日どうなるかわからないから、今』に変わったのでしょう」
男性にもその意識はある。市川市の市議会議員・増田好秀さん(34歳)は、震災から3カ月後の6月、オーネットに入会した。「半年」の期限つきで、それまでにいい相手が見つからなければ退会しようと決めている。このタイミングでの入会について、
「こういう時期だからこそ、女性も不安になり、結婚願望が高まっているのではないか、独身男の需要が増えているのではないかと感じた。僕が結婚することで、女性の心の拠り所になれたら、との思いもあります」と増田さん。
議員になる前の12年は、ゲーム開発などに携わる理系のサラリーマンだった。卒業した大学は、『合コンしたくないランキング』でたびたび一位を獲得する芝浦工大。20代から結婚願望は強かったが、交際相手がいても長続きしなかった。
オーネットに提示した相手の条件は、「タバコを吸わない」と「32歳以下」のみ。やっぱり子どもは欲しいから、年齢は若いほうがいい。見た目で選ぶつもりはないが、職業欄などに「CA」「秘書」「元モデル」とあると興味が湧き、つい会ってみたくなるという。
自分をアピールできる情報誌(オーネット「イントロG」)の原稿には、「イクメンが目標」「スポーツジムが好き」など、女性受けしそうなアピールポイントを詰め込んだ。執筆のための所要時間は約8時間。「もう、命かけて考えましたもん」と増田さん。
入会して3週間で10人の女性に会えた。議員の仕事は時間に融通がきくから、昼か夜、1日1人のペースで並行してデートできる。結婚相手は一人だけだと思うと、つい選ぶ目も慎重になるが、「もっといい相手がいるのでは、という思考には陥らないようにしたい。とにかく、早く結婚を決めたいんです」。
※すべて雑誌掲載当時