次々と周りのコンビニが潰れていく
本多氏が掲げるコンビニの役割とは、人々にとっての「ライフ・ソリューション・ストア」である。
「日本のコンビニは、3段階ステップで発展してきました。第1フェーズは1960年代、日本でコンビニが誕生し、24時間営業の便利なお店として認知された時期を指します。第2フェーズは80年代、おにぎりなどの定番商品が定着する一方、ATMやコピー複合機などが置かれ、単なる小売店舗の枠を超え利便性が周知されました。第3フェーズを迎えた今、これまでにない新たな価値創出が求められます」
高齢者の増加、働く女性の増加、単身世帯の増加など、社会は目まぐるしく変化していく。
「私はよく家電屋さんを覗くんです。家電屋さんにはその国の台所事情が表れているからです。例えばベトナムの平均的な冷蔵庫は250リットル。この大きさだと、毎日買い出しに出るのが前提です。日本でも以前は450リットルが主流でしたが、今は650、700リットルと大型になっており、しかも冷凍室とチルド室が増えている。つまり冷凍食品などの買い置きを想定しているんです」
「食の外部比率」が高まっている今こそ、本多氏は、コンビニを「家庭のキッチン」として利用してもらいたいと語る。ライバルは、外食産業、スーパー、デパ地下、惣菜店など。その市場は大きい。
そのほか、人々の問題を解決(ソリューション)すべく、取り組むのが、異業種一体型店舗の開発だ。薬局との一体型店舗、農協との一体型店舗など、従来のコンビニの枠を超えて、人々の生活の中に定着する道を探っている。スギ薬局時代から本多氏の下で様々な商品開発を行ってきたファミリーマート商品本部日用品・ヘルスケア部長の吉野正洋氏は、コンビニは「街の健康ステーション」として十分機能しうると考える。
「本多さんも私も過去の経験から、これからの高齢化社会において、ドラッグストアは必ずしも100%高齢者の受け皿にはならないと感じていました。理由は商圏人口の違いです。ドラッグストアの商圏は2~5キロと広範囲ですが、対するコンビニは500メートルです。足腰が弱り歩くのが困難なお年寄りが、徒歩圏内で、薬や食品、日用品と揃えることができるんです」
これまでもアンケートなどで、「コンビニで扱ってほしい商品」を尋ねると、第1位には薬が挙がっていた。