委員会発足からわずかの期間に制度化が可能な理由として上村執行役員は「先人の知恵を学んでいます。先行して制度を実施している企業に話を聞きに行き、その失敗や効果も含めて参考につくっているので、スピードも速まるという後発ならではのメリットがあります」と強調する。もちろんそれだけではない。同社の安藤宏基CEOの強いコミットメントが働いている。

「委員会の提案に賛同し、今年の年頭の挨拶でもCEOはダイバーシティを推進していくことを呼びかけています。今年はダイバーシティ元年と位置づけるなどトップ主導で進んでいることが大きい」(ズナイデン委員長)

委員会は、女性社員の思いをインタビューした4分間の動画を作成し、経営陣にプレゼン。ダイバーシティ推進のロゴやポスター作成など全社的な浸透も同時に行っている。

この取り組みと並行して女性リーダーの育成もさらに強化する。同社の女性社員比率は18.8%、そのうち女性総合職は33.7%(127人)。現在、女性管理職比率は約3.3%であるが、25年度までに15%達成を目標に置く。

2008年にはゼロだった女性管理職数だが、積極的に増やしていく。

女性管理職を増やしていくための施策として、今年から企業内大学で「女性リーダー育成研修」をスタートする。

「どういうスキルやコンピテンシー(能力)を伸ばしていけば、日清食品の管理職としてグローバルに戦っていくことができるのか。個人ごとに今の状態とあるべき姿のギャップを埋めるための育成プランを作り込んでいくことにしています」(ズナイデン委員長)

その準備段階として委員長自ら女性管理職候補約40人と面接したが、予想に反して意欲的な人が多かったと驚く。

「上昇志向が強く、将来、就きたいポジションや、やりたいことのイメージをしっかり持った意欲の高い人が多かった。しかも才能ある人が多く、しっかりと育成していけば優秀な管理職になるに違いないと確信しました」

当初の研修生は10人強を想定。育成後の管理職昇進試験の合格を目指す。管理職試験は、過去の人事評価と上司の推薦を要件に筆記試験を実施。2次の面接を経て、3次の社長面接で合否が決まるという難関だ。実際に7回目で合格した社員もいるくらいだ。

女性活躍推進法の取り組みにも意欲的な同社。上村執行役員は「行動計画は、私たちの施策とぴったりマッチしています。女性採用比率30%以上という目標や女性管理職比率の目標を併せて設定していく予定」と意欲を燃やす。