その彼らが「こんなはずじゃなかった」と口にする理由の多くに「話が違いすぎる」というものがあります。ただ、配属先である現場としては、いま目の前にいて軽い絶望を覚えている新人に対して、採用時点でどんな約束が成されたのか、よく分かっていないというのが正直なところです。そこが分からないと、彼らの絶望のきっかけも真意もつかめません。

そこで、まずは自社のWebサイトのリクルーティングページをじっくりと読んでみてください。先輩の声と称して、同僚たちが格好良い写真とともに、キラキラとした仕事ぶりをこれ見よがしにアピールしているはずです。当然、そんなものをうのみにする学生はイマドキ少なくなってきてはいますが、それでも自らが所属している企業が、新戦力に対する“そういう期待”を喧伝している事実を、しっかりと承知しておくべきなのです。

「そういうものだ」というセリフだけは言ってはならない

さて。新入社員の「こんなはずじゃなかった」というセリフへの答え。最悪なのが「仕事とはそういうものだ」という回答。「私たちの若い時もそうだった」という経験を理由としてセットにした話だとしたら、これはもう絶対に避けなければならないパターンです。

考えたら分かると思うのですが、入社前にアレヤコレヤの約束をして、いろいろと夢を見せた後で「いやー、それはまあ、言葉のあやというものですから」という、ある種の詐欺まがいなことが通用する時代ではありません。

当然のことですが、自分の置かれている環境に絶望して、こんなはずじゃなかった、と言ってしかるべき高い能力が備わった新入社員は、ごく稀にしか存在しません。しかし「社会とはそういうものだ」とか「そういう理不尽さを乗り越えてこそ仕事だ」という話は、もはや時代錯誤でしょう。まずは、皆さんが新入社員だった時代とは違うのだという認識を、持つ必要があります。その上で、皆さんが先輩として格の違いを見せつけつつ、彼らを納得させる方法が一つあります。それは“仕事の面白さを説明する”ことです。