【8.会食】支配人と親しくなっておく
●KDDI 渉外・広報本部 秘書室 渉外グループ マネージャー 上野明子さん

政財官渉外という業務を担当しているため、挨拶や懇親、または交渉を伴うものまで、ほぼ毎日、会食が入っています。

常に心がけているのは、相手を慮(おもんぱか)ること。空調の風向きによってはひざかけを用意したり、海外の方の場合は部屋の絵を好きなものに変えたこともあります。対応を臨機応変にするため、お店の支配人やおかみと親しくなっておくことも大切ですね。

交渉に臨むときも、こちらの要望をただ押しつけるのではなく歩み寄り、寄り添い、よきところに導けるよう意識します。元々人間が好きなので、出会いと学びが多いこの仕事に幸せを感じていますが、秘書時代にも学んだ「相手に寄り添い慮ること」と、「機を見極め、双方が胸襟を開ける時間空間をつくること」……そういうどこか温かくも機敏に人と今を感じとれる「母性ある軍師」を目指しています。

【写真左】KDDI 渉外・広報本部 秘書室 渉外グループ マネージャー 上野明子さん/カスタマーサービスセンター、役員秘書、社長室企画部を経て、秘書室の渉外担当に。政界・財界・官庁・有識者などに対して、役員とともにあるいは単独でも、ビジネスの交渉や接待を担当している。【写真右】歴代首相の一人に爪が汚いと言われ、以来ネイルをきちんとするように。
【会食の気配り3つのポイント】

●相手の好みを徹底リサーチ
タバコ・お酒の銘柄まで事前にリサーチするが、先入観にとらわれては逆効果。会話の中で相手を理解し、心地よい空間で信頼を深めます。
●快適な空間をつくる
照明・部屋の温度・窓の位置や椅子の高さ・花瓶と花の種類まで、個室の快適さと、会食の目的、先方の好みをイメージしてつくり上げます。
●時にはサプライズも
鮎や鯛だしを使うこだわりのカレーうどんを食べに行ったり、郷土料理をメニューに入れてもらったり、サプライズプレートを準備することも。