自分の「観察」と「評価」を問う

会話例の中では2人の言い分はすれ違ったままでした。このような事態に際しては、どんなメンタルモデルが事態を引き起こしているのかについて理解しなければいけません。そして、メンタルモデルを理解するためには、自問自答を通して自分の思い込みや前提を明らかにしていくことが有効です。そのためには「自分が何を見ているのか」、「自分がそれをどのように評価しているのか」という2つの視点から自身に問いを投げかける必要があります。これら2つの視点から自問自答することで、普段から無自覚に行っている「観察」と「評価」を明らかにすることができるようになり、自分の持つメンタルモデルを明らかにできるのです。

「観察」を問う質問とは、自分が着眼している点、着眼していない点を明らかにするための質問です。先ほどのやり取りを踏まえて、リーダーがこの点について自問自答したとすると、以下のような質問と回答になるでしょう。

【自分の「観察」を問う質問】
質問:自分が見ていたのはどんな点だろうか。
答え:チームメンバーのAさんが、リーダーである私に連絡をせず、Aさんの判断で社内のミーティングに参加しなかった。

質問:では逆に、自分が見ていなかった部分(知らない部分)はどこだろうか?
答え:Aさんには作業しなければいけないという理由があったようだが、それを知らなかった。また、なぜAさんがミーティングの欠席について私に伝えようとしなかったのか、その理由も分からない。

このように問い直してみると、リーダーはAさんの行動の理由については先の会話で聞いていましたが、その理由の理由については聞いていなかったことが分かります。それでは、リーダーの行っていた「評価」はどのようなものだったのでしょうか?