問題点を挙げるだけでは次に進めない!
まず、「時間軸」を問うというのはその事象の過去には何が起こったのか、そして未来には何が起こりそうなのかを問うということです。多くの場合、問題がいきなり発生することはありません。その前兆や経緯のようなものが存在するはずです。同様に、今起こっている問題を解決しようとするなら、未来に何が起こるかを考えねばなりません。
次に「因果関係」を問うとは、問題の原因は何か、そして問題が次に何を引き起こすのかを問うということです。システム思考においては、原因は何かの結果であり、またある結果は何かの原因となります。そうしてシステムの中でループが生まれ、同じことが繰り返されることとなるのです。
私たちがチームとして活動している時、チームメンバーの意識が一面的な事象にのみ向かってしまったらどうするべきでしょうか。リーダーはその時、「時間軸」と「因果関係」という2つの視点から問いかけることにより、メンバー同士で問題の全体像を共有できるように促せます。ある営業チームでの会話例を元に、質問を使ってメンバーのシステム思考を促す方法を見ていきましょう。
リーダー:今日はチームが目標達成をする上での、問題点について話し合いたいと思います。皆さん、何かありますか?
A:実は新しい商品の営業がうまくいっていません。どんなに説明しても、顧客に通じないんです。資料の作り方が悪いと思うので、もっと分かりやすい説明資料が必要だと思います。
B:私もそう思います。今の資料は情報が多過ぎますよ。
C:不要な部分が詳細過ぎたり、逆に大事な情報が抜けていたりして、困るんです。
D:私なんかは、もうあの資料は使っていませんよ。口頭だけで説明しています。
ミーティングの中で資料に対するメンバーの不満が噴出してきました。しかし、この会話例の中ではメンバーは「資料が悪い」という点のみを考えていて、その背後にまで考えを巡らせていません。これでは、本当に大事な要素がどこにあるのか、全体像を共有したとは言えないでしょう。では、リーダーはどのように問いかけていけばよいでしょうか。