うまくいかないことがあり、チームでミーティング。しかしいくら話し合っても問題点を挙げるだけで解決にならない――そんな時はリーダーの出番です。メンバーが自発的に解決に動きだすための“ある質問”とは?

チームが「単なる人の集まり」以上の価値を出していくためには、チームメンバー全員が取り組むべき問題を各々の視点から理解している必要があります。しかし、単に情報をメンバーと共有しただけでは、問題の全体像を共有することはできません。なぜなら、メンバーは各々の視点を持ち、提供された情報の異なる部分に目を向けているからです。問いかけによってメンバーが問題の全体像を共有できるようにすること、これこそがリーダーがチームを動かしていくために必要なことなのです。

1つの仕事に対して、メンバーたちが“勝手”な意見を持つのは、それぞれ異なる視点を持っているから。そんな複数の視点を生かしつつ、問題意識を共有し、解決に向けて全員で進んで行くためには、リーダーによる「時間軸」と「因果関係」を問う声がけが欠かせません。

では、異なる視点を持つチームメンバー間でどうやって問題を共有すればよいのでしょうか? そしてどのように異なる視点の価値を生かせばよいのでしょうか? このために有効なのがシステム思考(システムシンキング)です。システム思考とは、目に見えている問題を独立して存在する事象として捉えるのではなく、全体像の中において周囲のさまざまな要素と絡み合う構成要素として捉える考え方です。もっとシンプルに言えば、システム思考とは物事を「点」としてではなく、「面」や「全体」として見る考え方のことです。この視点をチームが持つことにより、個々の視点を離れて問題の全体像を共有することができるようになるのです。

“Operation Cat Drop(猫投下作戦)”という実話があります。1960年代に東南アジアのボルネオ島(カリマンタン島)では、マラリアの感染拡大を防止するためにWHO(世界保健機構)が活動をしていました。そこで採られたのがこの作戦です。