まず軽自動車による個人宅への宅配で経験を積み、法人から請け負う2tから4tトラックでの宅配業務と営業を行うようになっていった。

「最初の頃は車を降りると先輩がすでに荷物を持って走っていて、見失ってしまうくらいでした。社の雰囲気もイメージ通りの体育会系。でも、私にはその雰囲気が合っていたんです」

日々の仕事に慣れてくると、彼女は次第にこれが自分の天職だと思うようになった。

効率よく業務を管理するために、iPadが欠かせないアイテムになっている。現場作業のためのグローブも。

「他社より早く配達に行って、集荷も時間通りに行く。そのうちに『大西さんだから荷物を出すよ』と言ってくれるお客さまが増えていったんです。うれしかったですね」

女性ドライバーは珍しかったものの、トラックに乗ってしまえばそれを意識することはほとんどなかった。なにより幼い頃から勝手知ったる延岡の町だ。

「あんた若いのに頑張るねェ。こんなに働いているといいことあるよ」

顔なじみとなったお客さんからそんな声をもらいながらの日々は、彼女にとって居心地の良いものだった。