もう1つの壁は、年齢に関することです。今、女性活躍支援の一環として「女性の早期育成」が企業の課題になっています。これまで10年かけていた育成期間を早回しにして5年にする。幹部候補と目される女性を出産する前に育てようということです。その後「出産・育休」などのブランクがあっても、スムーズに復帰できるというわけです。しかし、これも「出産を仕事の都合に合わせている」ことに変わりありません。この方法では、どんなに優秀でも25歳で妊娠したら「育成コース」からはずれてしまう。わずか25歳でその後が決まってしまうのです。

これは会社にとっても損失ではないでしょうか。仮に若くして出産しても、育児が一段落してから働ける期間は長い。現に20代で出産した40代の管理職の女性は、「子どもが大学生になった今が、一番仕事ができる」と言います。40代、50代に働き盛りを迎える女性たちの力を生かさないのは、それこそもったいない。

つまり「年齢と仕事」をセットにして考える慣習が、日本女性の活躍を阻んでいるのです。私は外資系にいた経験から「年齢と仕事をリンクさせること」には何の根拠もないと思っています。「何歳の仕事はこれ」と思いこんでいるだけです。