「お金も時間も使うものであり、使われてはいけない」――。これは、私の師匠であった曹洞宗の僧侶が生前、よく語っていた言葉です。経済的に成功した人がそれにふさわしい消費行動をとることも、もちろん大事です。そうしないと、文化も発展しません。重要なのはバランスです。
たとえば、時計が趣味という場合。私も時計は大好きですが、やみくもに買うとキリがないため、「刷り部数で10万部以上の本が出たら時計を一本買う」ことに決めています。
経営者ならば、「売上高100億円」や「利益10億円」などわかりやすくて到達するのが困難な目標を掲げ、それを達成できたら好きなモノを一つ買うなどのルールを決めておくのも浪費に歯止めをかける具体的な方法です。
中国古典の『論語』にもケチはよくない、とあるように、経営者たる者、時には気前よく振る舞うことも必要でしょう。以前、慈善事業への寄付を依頼された際、その場で財布の中から10万円を取り出し、封筒に入れて相手に渡したある経営者を見たときは、その自然な振る舞いに「さすがだな」と感じました。
人間が一生のうちに使い切れる金額などたかが知れています。日本でも海外でも、本当の成功者は文化活動や社会に貢献するためにもお金を使います。逆に言えば、それくらい高い志を持っていないと巨額のお金は入ってこない、ということかもしれませんね。
▼気をつけていることや、習慣は?
・ピケティにのっとっている。毎月のPLでやりくりしている。投資ポートフォリオを決めている
・趣味を除き必要最低限にする
・自分に投資すること
・家計簿のようなPLはつけていないが、資産残高をBS的には管理していて、一定の範囲を超えないように心がけけている
・小銭から使う
・そのときの気分で使う
・無駄なことには一切使わず、必要なときは惜しみなく使う
・成金っぽく見られないこと
・決めた範囲でしかお金を使わない(月給内での生活)
・感謝の気持ちを込める
・財布に綺麗にお札を入れる
・お札は財布に揃えて入れる。現金が必要な場合に備えて10万円前後準備している
・衝動買いをしない。前月末に資産高を極力マイナスにしない