何をすべきかというとき、焦ってはいけない

【塩田】政治家も人間として寿命があり、その前に政治生命の寿命もあります。

【川端】15年11月の私のパーティーで、 102歳の日野原重明先生(聖路加国際メディカルセンター理事長)を紹介させていただきましたが、先生は「後輩の方の77歳の祝いをしたとき、『ところで、君のこれからの人生の目標と実現への行程表は』と聞いたら、相手が目を白黒させた。私は『僕の歳まで君はあと25年もあるのに、まさか何の目標を持たず、ただぼんやりと過ごすつもりじゃないだろうな』と叱っておいた」とおっしゃった。

そう思えば、今、何をすべきかというとき、焦ったらいかん。一番の救いは、われわれが考えている立ち位置と目指す国は絶対に消えてなくならないし、なくしてはいけないという考え方の勢力のはずです。いつか一回こっちに政権をと国民が思うように、力を蓄えることです。いっぺんに数を増やすとか、人気がある人と一緒になるとか、トップを替えたらバラ色の党になるとか、党名を変更したら世の中がよくなるというのは違うだろうと言いたい。そう思いたくなる病気は、そろそろ卒業しようよという感じですね。

政権を担わせて下さいと言うのは、国と国民の日々の暮らしに責任を持つことでしょう。この人たちに政権を渡して、私たちの生活は本当に大丈夫なの、と思われた瞬間にアウトです。私は口癖のように言っていますが、防衛の安全保障、生活の安全保障、エネルギーの安全保障、食糧の安全保障の4つの安全保障があります。生活の安全保障は社会保障です。この4つの安全保障政策の議論は徹底してやったらいい。答えを出したら、みんなで守るということをしなければ。当たり前ですが、俺は反対とテレビで言ったりしない。造反はやめる。厳とした規律ある普通の組織にならなければならない。みんな相当堪えますが、それはなくなってきていると思う。ときどきまだわかっていないのかなという人がいますが。

【塩田】2016年前半の政治の行方ですが、夏に参院選があります。1月4日の通常国会召集で、安倍首相が衆参同日選を仕掛けるのではないかと憶測を呼んでいます。

【川端】今夏で任期が切れる参議院議員の任期満了日の30日前までに参院選を、解散から40日以内に総選挙を、といった規定があり、参院選の公示日の関係、それに選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げた改正公職選挙法の適用が施行日以降の公示の選挙からということもあって、1月4日に国会を召集して、 150日の会期で会期末の6月1日に衆議院を解散したときに、選択肢として1日だけ、7月10日の投票日でダブル選挙ができるというスケジュールです。それ以外だとダブル選挙はできない。

安倍首相にすれば、そういう可能性を残して、「同日選カード」を持っていることは極めて大事です。そのことはみんなわかるわけですから、解散があるかもしれないと思うと、みんなバタバタする。それが安倍首相の思うつぼということでしょう。

【塩田】川端さんは旧民社党の出身ですが、民社党の政策・路線、民社党での経験を、その後の政治家としての活動でどう生かしてきましたか。

【川端】民社党時代、マスコミにいっぱい叩かれながら、「日米安保条約が一番大事」「自衛隊は必要」と言い、後になったら「PKO(国際連合平和維持活動)は当然」と言ってきた。結党時の言葉である「福祉国家の建設」はプチブルジョワジー思想と批判された。エネルギー政策も含め、民社党がお叱りを受けた政策が全部、今、国の根幹の政策になっています。ということで、そこはある種、誇りを持っています。

民社党時代、逆風を抱え、非常にバッシングを受けることが多かったんですが、西尾末広先生(元民社党委員長・元官房長官)など、先輩の行動や姿勢から教えられたのは、「信念と覚悟を持って正しいと思う道をひるまず進め。それで国民のバッシングを受け、理解を得られないのは、努力が足りないと思え」ということです。「百折不撓」、百回折れても、絶対変わらず、あちこちするなという教えでした。京都選出だった永末英一先生(元民社党委員長)には、「望むらくは大きな勢力になればいいけど、ぎりぎり絶対に後で大きくなる、目指す世の中が来るはずと信じてやれ」と言われました。逆風が吹いたら辛いですよ。だけど、私は過去の経験から口を酸っぱくして、みんなに「我慢しろ」と言っています。