「聞く、話す、読む、書く」 4技能を重視

【三宅】ところで「英検」は、日本人に1番なじみ深い英語試験と言っていいでしょう。いま、いろんな試験が世の中にありますけれども、圧倒的な知名度です。私どもも来年、小学生用の新しい教材を出そうと思っているのですけれども、その1つの目安として、小学校6年生までに英検3級に合格するということを掲げるつもりです。

【本間】当協会は、設立が東京オリンピック前年の1963年で、50年余りの歴史があります。当初から「実用英語を考える。世界へ羽ばたく人材を育てる――英検をはじめとする各種検定事業を中心に、実用英語の普及、向上を目的とした調査研究や研修、研究助成などを行う」ことを掲げており、そこはいまも変わりません。
ただ、英語のニーズも時代とともに変わります。アカデミックであったり、ビジネスであったりと。そこで、それに応えるように、当協会もテストだけではなくて、ラーニングの部分でも、どんどん進化させてきました。「英検」というテスト自体も進化をさせようとしていますし、それから、ほかの新たなテストも提供することで、多様なニーズに応えようとしています。

【三宅】「TEAP」に話を進めたいのですが、このテストは2014年から始まった非常に新しいテストです。そもそもどういう人を対象とした、どのような内容のテストなのでしょうか。

【本間】大学受験を目指す人を対象にしたテストです。高校2年生以上に受験資格があります。国内で、特に英語で学問をするような講座の多い大学に入学したいと考えている生徒さんを対象にしています。いまは年に3回実施しています。

【三宅】最近では、聞く、話す、読む、書くという4技能重視ということが言われますが、やはりこの「TEAP」も、そこをしっかり見るテストですね。

【本間】現在の大学入試というのは、1技能、つまりリーディング偏重となっています。すると、高校の現場も読解が中心にならざるをえません。「TEAP」を普及させること、多くの大学の入試として採用されることで、それが4技能を学習しようという教え方に変わっていく。そして、ゆくゆくは中学の現場にも波及させていきたいと考えています。

【三宅】英語教育改革に関しても、昔からずっと言われてきて、学習指導要領でも4技能のことはきちんと謳われているのですが、結局、大学入試が変わらないかぎりどうしようもない。現場の先生が4技能を教えようとしても、入試が目の前に迫ってくると、実際にはそうはいかないのが現実でしたが、ようやく、大学入試が変わろうとしています。

センター試験が2020年に終了して、4技能重視の試験に変わる。しかし、それを待たずして、各大学独自の試験では、4技能のテストが導入され始めつつあるということですね。

【本間】当協会でも新たなテストの姿を模索していました。そのときにちょうど上智大学の吉田研作先生から「上智の入試を変えたい」という話をいただきました。グローバルに活躍できるような素養を持った生徒、学生さんに入学してもらいたい。そして、将来的には日本の入試も変え、授業も変えていきたいということでした。われわれの考え方とも一致したので、「一緒に開発をしましょう」とスタートしたのが2009年です。

テストの作り方については、われわれがノウハウを持っていますので、上智大学と一緒にチームを編成し、英語で学問をするためには具体的にどういう力が必要なのかを調査研究しました。まず、上智大学の先生にヒアリングやアンケート調査をしました。出題形式や問題について、試行と議論を何度も重ねて「TEAP」を完成させていきました。