「ママがいうとおり」を口癖にする

妻のいうことは、できるだけ受け入れるよう心がけています。これは妻が闘病で疲れることも多く、自分の死を思わずにはいられないほど不安になったり、家族に迷惑をかけていると思ったりしているときもあるからです。といっても、難しいことをしようとしているわけではありません。私の場合、「ママがいうとおり」を口癖にしているくらいです。

たとえば、「ママがいうとおり、にんじんジュースを飲み続けたら、からだの調子がよくなった」とか、「ママがいうとおり、この本、おもしろかった」といったように、ちょっとしたことでも、この言葉を使うのです。それでも、あなたの意見を受け入れていますよ、という気持ちを表せるものです。また、妻の気持ちに対して、自然と寄り添えるようになってきます。

妻が少し深刻な話をしてきたときは聞き役に徹するよう心がけ、理論的なことはいわず、まず妻の感情を理解するようにしています。そして、妻の感情に寄り添うような会話をするよう心がけています。このときも妻の話を肯定するときは、「ママがいうとおり」といってから、自分の意見を簡潔に述べるようにしています。

ちょっと話を聞いてもらいたいだけなのに理論的に正論をいわれると、話さなければよかった、と思う人は結構いるのではないでしょうか。私の場合もそうです。闘病生活を送っている人なら、なおさらだと思うのです。だから、難しいことを考えるのではなく、まずは「ママがいうとおり」と肯定してから、妻の感情に寄り添う会話を心がけているのです。

たったこれだけのことですが、できていないときもあります。また、本当のところ、妻がどこまで評価してくれているのか、疑わしいところも多々あるかもしれません。しかし、たったこれだけのことを心がけるだけでも、確実に妻を思いやることにつながり、ダメ夫ながらも、少しずつサポートするのが上達してきているような気がします。

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