文具のプロが厳選した、「書きやすく」「手になじむ」「達筆に見える」ペン。それを汚字コンプレックスに悩む3人が書き比べました。
“自分の書く字にコンプレックスがある”“メールを打つ機会が増えたため、お礼状を書こうとしたら、うまく書けない”といった話をよく聞くが、ゴルフでクラブを替えたら飛距離が伸びることがあるように、使うペンを替えれば解決できないだろうか。
「相性のいいペンを持つことで、自分の字に愛着が持てるようになり、書くことが嫌ではなくなる。そうすれば書くことが増え、字が上手くなる可能性もあると思いますよ」と話すのは、文房具コンサルタントの土橋正氏。
では、相性のいいペンとはどんなものだろう。土橋氏と、会社員でありながら文房具女子ライターとしても活躍し、50本のペンの書き比べ経験もある彩織氏に「字が上手く見えるペン」をセレクトしてもらった。
「最適なペンを選ぶには、自分の筆圧具合を知り、インクの濃さを選ぶこと。ボディが細すぎるものは文字が躍ってしまうので、太さがあるものがお勧めです。重心がペン先側にあると安定します」(彩織氏)
日常業務はほぼ万年筆という土橋氏は、万年筆の利点を「書くときの力の入れ具合でインクの濃淡が表れ、肉筆感が出せるところ。万年筆で書いた字には独特の世界観があり、自分の感情が伝わりやすい」とあげる。
また、高価な万年筆は、必ず試し書きをして選ぶことを勧める。「文具店に日常使っているノートを持参し、イスに座らせてもらって書きましょう。書く頻度の高い自分の名前や住所で試すといい」(土橋氏)。
今回、2人が勧めてくれたペン9本を紹介。これを、「自分で書いた取材ノートの字が自分でも読めなくなる」編集者と記者3人が書き比べ、好みの1本を選んだ。
ちなみに、ラインアップに圧倒的人気を誇る「ジェットストリーム」(三菱鉛筆)がランクインしていないのは、「筆記摩擦が低く滑らかに書けますが、字に自信がない人には滑らかすぎて字がふにゃふにゃしてしまう」(彩織氏)ため。記事を参考に、あなたにとっての最強の1本を探してほしい。
文具展示会「ISOT」事務局を経て、土橋正事務所設立。文具ウェブマガジン「pen-info.jp」を発行。著書に『モノが少ないと快適に働ける』ほか。情報サイト「All about」のステーショナリーガイドとしても活躍中。
会社員として働くかたわら、文具ライターとしてイベント出演、文具サイト「Notebookers.jp」などで活躍中。テストする女性誌「LDK」(晋遊舎)で、100円前後の格安ボールペン50製品を書き比べた経験あり。