日本人は英語をしゃべる訓練が足りない

【三宅】実は、そのお話ですが、グローバル時代における日本人の英語はどうあるべきか考えるヒントになりそうです。従来、日本人は英語学習者としても、どうしても受け身の学習者でした。けれども、師匠の講義は、発信する英語、自分の言いたいことを伝えていく英語です。これからはそうでないと異文化交流もできないし、ビジネスの世界での交渉もうまくできない。やはり、堂々と発信していくという訓練が大事でしょう。

【かい枝】おっしゃるように受け身というか、何も欧米の、アメリカの英語だけが正しいわけじゃありません。日本人らしい英語でいいんです。発音やアクセントも大切だけれども、ニューヨークに行ったら、韓国の人は韓国語訛りの英語で全然普通にやってはるじゃないですか。

【三宅】そこなのです。いま世界で会話されている英語の75%はノンネイティブ同士の会話だそうです。だから、英語を学んで、海外旅行で使う、仕事で使う場合は、相手はアメリカ人ではなくて、東南アジアとか、中近東、ヨーロッパの方というケースが非常に多いわけです。日本人はネイティブのようにうまく発音ができないと、しゃべるのを躊躇する。笑われるのが恥ずかしいからしゃべらない。そうじゃなくて、英語は道具ですから、ノンネイティブとして堂々とした態度で、堂々とした発音で相手に伝わるということが大事ですね。

恥かしがらずに、間違いを気にせずにね、しゃべっていくという訓練が、日本にはとても重要で、英語がうまい下手もあるんですが、上級者だろうと、中級者だろうと、初級者だろうと、そのレベルで堂々と自分の言いたいこと言うべきです。

【かい枝】おそらく、日本で求められる英語力というのは、必ずしも発信力とイコールではない。僕はもっと発信力を磨くほうがいいと思う。その際、お笑いがもう少しあってもいいのにと思ったりしていますが、どうでしょうか。落語とか、そういう文化をもう少し学んでほしいという気はありますけどね。

【三宅】かい枝師匠の今後の夢、目標について、最後に聞かせていただけますか。

【かい枝】落語というものを、歌舞伎とか能のように、世界中に知ってもらいたい。やがては「rakugo」という単語が英語の辞書に載って、もう世界の人が普通に歌舞伎や能を見るように落語も英語落語も見てくれたら嬉しいななんて空想しているところです。

【三宅】本日はありがとうございました。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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