マンションより一戸建て。軽自動車よりSUV。洋服を買うならファストファッションよりデパートで……。高年収世帯が冒しがちなムダ遣い、見栄消費を総点検。本当に満足度の高いお金の使い方、教えます。

「健康はお金では買えない」という常識が揺らいでいる。最近は所得と健康の関係について研究が進み、「低所得層の子どもは病気になりやすい」「低所得者の要介護者は高所得者の5倍」などの“健康格差”が世界的に訴えられるようになってきたのだ。

高級ジムで個人トレーナーをつけて体を鍛えるのは富裕層の特権であるし、健康診断を受けるにも保険適用外のため安くない費用がかかる。もはや健康はお金で買う時代になってしまったのだろうか……。健康づくりに詳しい中京大学スポーツ科学部の湯浅景元教授は、その考えを否定する。

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高年収ほど健康管理していない層が減り、健康への意識が高くなる。年収300万円台は健康管理してない率が半分を超え、定期健診以外の検診受診者はわずか3%。体は金では買えない“資本”。できる範囲でケアしたい。

「健康を維持するのは、1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬。この中でもっとも大事な運動を正しい方法で行えば、健康につながります。フィットネスクラブでお金をかける運動をしても、家庭でお金をかけない運動をしても本質は同じ。ただし費用対効果の高い後者が、一番いいと言っていいでしょう」

無料で行えて効果のある運動は、いくつもある。筆頭は「歩く」だ。

「歩くとき、人間の体は上下動します。これが1歩ごとに負荷になって、心臓や筋力を自然に鍛えていることになります。毎日1万歩に相当する運動を続けている人とそうでない人では、 年間7万~8万円の医療費の差が出るという調査報告もありますね。そして意外にも『立つ』のも実は立派な運動。膝を曲げて立てば、脚にかかる重さが体重の2倍3倍になって、それだけで肉体が変わってくる。お金がなくてジムの器具を使えなかったり時間がない人は、地球が与えてくれる重力を最大限に利用すればいいんです」