日本一広い駐車場を持つ英語学校

【三宅】それがいまでは、生徒が1000人近くになったのですからね。その間、順調に少しずつ伸びてきたのか、それともある時期に何かのきっかけがあってぐんと受講生が増えたのかどちらだったのでしょうか。

【浦島】イメージとしては、年間80人ぐらいずつ増えていったって感じですよね。あんまり急激に伸びたというよりは、少しずつというか、これが急激だったら今ごろ失敗していたかもしれません。少しずつ上がって、ここに来て少しずつ下がっています。急激に下がったらこれまたやってこられなかったと思いますが、一時1100人ぐらいまで行って、現在は900人ぐらいですかね。

【三宅】人口17万人でしたか、帯広の町は。

【浦島】もう17万人切りました。少子化で子どもたちが少なくなってきているのはどこも同じですね。学校は住宅街にあるのですが、僕が戻ってきた頃には、どの家にも子どもがいっぱいいて、とても活気のある地域でした。ところがいまや、子どもの数がかなり減りました。

【三宅】でも教室には、夕方になると帯広中からお母さま方がクルマを運転して来て、駐車場がいっぱいになる。100台置けるそうですね。

【浦島】帯広中からだけじゃなくて、近隣の町村からも1時間ぐらいかけてみんなクルマで来るというような感じです。よくジョークで言うのですが、うちの売りと誇りは2つだと。ひとつは日本一広い駐車場を持つ英語学校ということ。それともうひとつは暖炉がある。暖炉まであるところはないでしょう。

【三宅】待合室にはピアノもあります。クリスマス会とかいろんなパーティとかイベントも皆さんの楽しみでしょう。

【浦島】スペース的には、あと2つぐらい教室にできたのですが、教室にしないで待合室にして暖炉をつくりました。いちおう僕の夢だったのです。

【三宅】「ジョイ・イングリッシュ・アカデミー」では、小さい子どもさんからビジネスマン、さらにシニアと幅広い年齢層が受講しています。これはイーオンも同じで、受講生のレベルもいろいろですし、目的もほんとに趣味でのんびりと長く続けたいというシニアの方から、大学受験でなんとしても英検準1級、一流大学に受かるぞという高校生も来ています。こうした受講生に対しての、浦島さんのところの英語教育の特長はどんなものでしょうか。

【浦島】一番の特長は、地域に根差していることです。地域の人たちのためを考えて、地域のニーズに合わせてやるということを大切にしています。もうひとつは、普通の人が気軽に通える英語学校。つまり、授業料を抑えていることでしょうか。なぜなら、英語を学びたい人なら誰でも来られる学校にするというのが僕の考え方でした。ですから極力、広告宣伝費もかけてない。宣伝費というのは春に1度出すチラシぐらいです。

【三宅】それにもかかわらず、知名度が抜群ですので、帯広の人にとって「ジョイ」に通うことは一種のステータスで、もう知らない人はいない。

【浦島】いやいや、とんでもありません。どうにかこうにか39年間続けることができただけですよ。

【三宅】地方都市、しかも東京から離れた北海度の町で事業を興されて成功する秘訣は何でしょうか。

【浦島】これは僕が日頃から考えていることですが、地域の人に誠実であるということですね。小さな町だと、仕事だけじゃなくて、僕自身の生活態度も見えてしまいますね。だから、仕事でどんなに格好いいことをしようと、実際の私生活でどこかの居酒屋などで酔いつぶれていてはまずい。もちろん、僕はお酒は飲まないので、そんなことは100%ありえませんが。

ですから、僕が大事にしているのは、普通の私生活で常に人の眼があるということも意識しながら生活すること。それから地域の人たちを裏切らない。とにかくそれはずっと意識してやってきました。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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