中高年向けお見合い会は盛況、熟年向け風俗店も続々オープン……。人はなぜ、年をとるほどに異性を求め続けるのか。超高齢化社会を目前に控える中、中高年の恋愛事情の実態を探った。

美人で20歳下の看護師と結婚

「ドジで、とても可愛いお嫁さんをもらうことができました。幸せな新婚生活を送っています。どうか皆さんも諦めずに幸せをつかんでください」

隣に立つ女性を気づかいながら満面の笑みを浮かべて結婚報告をする酒井信博氏の挨拶は誇らしげだった。会場の男性から「若くて、きれいだな」と感嘆の声がもれる。酒井さんは67歳での再婚。新婦は20歳下の看護師で、やはり再婚だ。

2013年7月中旬、中高年専門に出会いの場を提供する太陽の会・東京(東京・中野区)が新宿のホテルで開いたお見合いパーティーは、酒井さん夫婦へお祝いの花束が贈られると、参加した男女半数、約40人の自己紹介から始まった。8人掛けの丸テーブルに男女が交互に座る。15分ごとに男性が席を移動し、話し相手を替えていく。隣の女性が意中の人とみえ、移動の声がかかっても座り込んだまま話し込む男性もいる。

都内のホテルで開かれた中高年の見合いパーティー

太陽の会ではこうした懇親会を毎月開いている。入会資格は男性は45歳以上、女性は40歳以上で独り身であること。独身証明書の提出が必要だ。今回の参加者は男性が54~74歳、女性は56~74歳、男女とも60代が最も多かった。

太陽の会・本部会長の斉藤尚正氏が説明する。

「50~60歳代が最も多く、最近では年齢が少し高くなる傾向にあります。ずっと独身だった人もいますが、男性は奥さんと死別、女性は離別の人が多い。老人ホームから懇親会に参加し、気の合う相手が見つかり、マンションで一緒に暮らし始めた会員もいます」

体験入会の新婦と2012年11月に出会い、2度目の伴侶を見つけた酒井氏が、入会した目的を話す。

「18年前に妻と死別してから、仕事が終われば焼酎を毎晩飲む日々でした。寂しくて、心の穴を埋めるものが欲しかった。街で声をかけるわけにもいかず、14年前に入会しました。女性の隣に座って親しく話せるだけで、生活に張りが出てきました。交際にまで発展すればホテルに行くかもしれないと思い、下着にも気を使うし肉体の衰えにも注意をするようになりました」

10年前に夫と離別し、入会2年目の50代後半の女性はこう打ち明ける。

「どんなに子どもや孫がいて楽しい時間を送っていても、心にぽかーんとあいた穴は埋まりません。それを埋めてくれるのは異性しかありません。その気持ちは70歳、80歳でも変わりないと思います」