「経営姿勢」の争いは脱「創業家」に追い風
「要望事項」には6人共通の意見として以下の6項目が書かれていた。
(1)現体制による経営方針の速やかな策定・取締役会付議
(2)コンプライアンス体制の強化(適切な人事を含む)
(3)IR体制の強化(適切な開示・株主に対する適切な対応)
(4)予算・事業計画の適時の策定・取締役会付議
(5)経営判断の合理性の確保・取締役会における適切な説明(不動産取引を含む)
(6)取締役会における健全な議論を行えるようにしていただきたい
いずれも当たり前の事ばかりだが、こんな要望事項を出さなければならないほど、取締役会が形骸化していたということだろうか。
(2)に適切な人事と書かれている背景には、昨年7月に久美子氏が社長を追われた後、期中にもかかわらず、大規模な人事異動が行われたのだという。社外役員はこれを、勝久氏の「イエスマン」を重用する人事とみたようだ。
また、(5)に不動産取引とあるのは、勝久氏の生まれ故郷である埼玉・春日部で、5000坪に及ぶ土地を取締役会で具体的な議論も行わずに勝久氏が取得してしまったことを指しているという。さすがの社外役員も、取締役会で議論が行われない事を問題視したのである。
そんな対立があって、1月28日に行われた取締役会には、久美子氏を社長に再起用する動議が出された。取締役会前に社外取締役のひとりが辞任、7人の取締役のうち4人が賛成して久美子氏の復帰が決まった。この結果を勝久氏は「娘の社長就任はクーデター。社員はテロだと言っている」と酷評した。直後に会長は株主提案を提出。株主総会に向けた委任状争奪戦へ発展した。