要するに、移動しているときも、情報を収集・分析し、経済・景気の動向を知る勉強はできるということなのだ。

30代の情報収集力として、いわゆる一次情報に対して、「一歩踏み込む姿勢」が必要だと小宮氏はいう。その姿勢とは、小宮氏の言葉を借りれば、「問題意識を持つ」ということ。記事を読んでいて、不思議だな、どういうことだろうと感じる。そんな素朴な疑問を晴らすべく自分で調べてみることで本物の情報収集力が培われるのだ。

「ニュースにはメディアの思惑や主観も交じることがあり、ウィキペディアなんかの情報は玉石混淆であることも多い。少し読んでわかったつもりにならず、ニュースソースにあたる。文献なら原典にあたる。統計なら基になっている統計データをあたってみると面白い発見があります」(小宮氏)

例えば、メディアの景気に関する報道は日銀の情報がソースとなっていることも多い。新聞報道を読んですませず、このソースにあたるのだ。それこそが「一歩踏み込む」行為だ。

日銀では、毎日、さまざまなデータを公表しており、それらをホームページで確認すると、報道とまた違った側面も見える。他の省庁の情報も同じだ。

では、小宮氏が語った問題意識を持つとは具体的にはどんなことを指すか。「食料自給率」を例にしてみよう。

日本のそれは約40%で、先進国中でも低いほうだ。だが、スーパーで買い物すると、生鮮食料品など多くの食品が国産である。40%というのはどういうわけか。卵は日本の養鶏場で生産されているが、自給率を調べると9%。なぜこの数字になるか。小宮氏は以前この疑問を解決すべく調べたところ、実は鳥が食べる飼料などの生産地が関係していることと、日本では、カロリー換算で食料自給率を計算していることも判明した。