起業するのに学歴は関係ない

日本では、小さな会社の場合、社長の独断で採用の合否が決まる傾向がある。これが中小企業の古くて新しい問題であり、定着率が慢性的に低い理由の1つだ。ジャンピエロさんは、1人では決して決めない。現場の意向を最大限に尊重する。それだけに、社員の定着率は高いようだ。

「辞める人が非常に少ないのが、当社の特徴です。私が、ヒステリックに怒ることもしませんからね。日本の会社は、上の人が部下に対し、怒ることが多いように思います。来日し、会社員をしていた頃、そのような上司をたくさんみました。あれでは、気持ちよく働くことができないでしょう。

最近は、私も少々、厳しく言うようになりました(苦笑)。アベノミクスの影響で、為替レートが大きく変動しました。ここ数年は、ヨーロッパなどからスポーツ用品やメガネのレンズなどを輸入する際、コストが膨れ上がります。それが、業績にも悪い影響を与えています」

異国の地での起業経験をもとに、日本人の会社員にはこんなアドバイスをしたいのだという。

「会社で上手くいかなくなった人の中には、高い技術や豊富な経験を持っている人がいます。会社を経営するなどして、それを生かそうとしないのが残念です。会社員をしているのが、楽だと思っているのかもしれませんね。

会社を経営したいならば、挑戦をしてみたらどうでしょうか。会社員をしながら、不満を言っているよりははるかにいいと思います。会社を創業するのに、学歴は関係がないですからね。

会社の経営を維持するためには、常に勉強することで知識や情報を得る必要がありますが、今はインターネットなどでもすぐに学ぶことができます。私が日本に来た30年前よりは、金融機関の創業支援は充実しています。たとえ、失敗しても立ち直ることはできます。健康であれば……。健康であることが、最も大切ですよ。大いに挑戦をしてほしいですね」

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