介護保険の中核的存在。
元気なうちから重介護まで困ったときにはまず相談を

「地域包括支援センター」という名前に聞き覚えはあるだろうか。お役所チックな名称に関係ないと思う人もいるだろうが、実はこれ、介護保険の核となる重要な新組織、覚えておいて損はない。地域包括支援センター、通称「包括」とは、2006年から市町村ごとに、設置が義務づけられた高齢者向けのよろず相談窓口。人口2万~3万人に1カ所が目安で、次の3役割を担っている。

(1) 総合相談・支援事業・権利擁護事業(虐待防止や高齢者の権利擁護を含む)
  (2) 包括的・継続的ケアマネジメント(高齢者の状況に合わせた保健、福祉、医療ほか一連のサービス提供など)
  (3) 介護予防ケアマネジメント(虚弱高齢者と要支援者への介護予防支援など)

高齢期は虚弱になったり、入退院や要介護など状態変化が起こりやすい。そこで地域性や状況を把握しやすい身近なところで、様々なサポートをしようとする狙いがある。

「一人暮らしの親が心配」「退院後が不安」「施設入所の情報が欲しい」等々……とにかく困ったときはまず「包括へ」とインプットしておこう。

知っていると得する!地域包括支援センターの仕組み

知っていると得する!地域包括支援センターの仕組み

ここには社会福祉士と保健師(看護師)、主任ケアマネジャーという専門職がいて、相談を受けたらお役所のようなタテ割りタライ回しはしない完結型ワンストップサービスが売りだ。

各専門職の主な担当内容は、社会福祉士は利用者の相談対応や情報提供、行政や介護サービス、ボランティア、医療など、相談者に必要なサービスへつなぐ手配。虐待や認知症で意思決定に不安があるときは、権利擁護や成年後見機関との連携を行う。

保健師(または看護師)は、主に介護予防ケアマネジメントを担当する。介護予防ケアマネジメントとは、要支援1・2と要介護になる恐れのある高齢者に、介護予防ケアプランを立て、サービスの手配やサポートを行うこと。介護保険の申請手続きも代行する。

主任ケアマネジャーは、ケアマネジャーにアドバイスするベテランの新資格。一般のケアマネのように個別のケアプランはつくらないが後方支援をする。

では、肝心のこの「包括」はどこにあるのか。学区同様、居住地で担当が決まっているので、市町村に聞けばすぐわかる。ただし、ここで1つ困ったことがある。それは一口に「包括」といっても、力量に大差があるのだ。問題処理能力の低い所に当たると最悪だ。

そこで上手な利用のコツは、担当包括を市町村に確認し、まずは様子を見に行ってみよう。さらに少し早めに相談し、「利用者基本情報」(病院のカルテのようなもの)を作っておくこと。職員があらかじめ経過を知っていれば緊急時もスムーズな対応につながりやすい。また包括の運営チェック機構として、住民参加型の運営協議会があるので要望を出したり、メンバーになるのも手だ。顔馴染みになっておけば話も早く、何かと便利というものだ。