お金のプロが初告白。老親の面倒を見て、初めて気づいた本当に必要なこと。安全、入院、人間関係、家計や家の管理、葬儀、相続……。多くの人が陥りがちな問題もこうすれば解決する。

葬儀社の口車には乗らないこと

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葬儀費用をムダに膨らませないためには、目安を知っておくこと!

親を看取って、まず直面するのが葬儀だ。多くの人が病院で最期を迎える。遺体は病室から霊安室に運ばれ、搬送先が決まるまで仮安置される。事前に葬儀社を決めていなければ、病院出入りの葬儀社に搬送を依頼することになる。この時点ではあくまで搬送と腐敗の進行を防ぐ処置だけに限定して頼むこと。「葬儀の日取りはいつにしましょう」と畳みかけてくる業者もおり、看病疲れや気持ちが動転していることもあって、つい勢いで契約してしまいがちだが、葬儀社の選定は搬送後、安置してからでも遅くはない。

まず事前に予算を決めて最低2社以上から見積もりを取る。結婚式と同様、葬儀の費用は膨らみがちなので、こちらの予算の八掛けくらいを伝えよう。私が父と祖母の2回、お葬式を行った経験からいえば、「1回きりのことだから」という思いと、遺族の見栄や世間体の心理が働いてついついグレードを高くしがちになるからだ。

葬儀の総額は祭壇や棺など葬儀本体にかかる葬儀一式、飲食など別途費用の実費、寺に包むお布施の3つの合計になる。日本消費者協会の調査(2010年)では、葬儀費用の総額は平均で199.8万円にものぼる。普段なら熟慮する高額な買い物だ。

葬儀業界は原価があってないようなもの。それだけにわかりにくく、トラブルも多かった。以前、ある業者を取材した際には、例えば遺影の見積もりが1万5000円であるなら原価は3000円、棺も5万円のものであれば7000~8000円。5000円の骨壺は500円といった相場を聞いたことがある。原価を事細かに知る必要はないが、費用が膨らみがちになったときに、豪華にすることでこうしたものが上乗せされると頭に浮かべば、冷静に判断ができるのではないだろうか。

葬儀社のホームページやチラシは各種プランやセット料金を表示しているが、葬儀本体や、本体と実費の一部だけという場合も多い。基本セットだけでは葬儀を出せないことも少なくない。見積もりも大ざっぱなものが多いので、不明と思える項目があれば、何が含まれているのか確認すること。