――ストレスは免疫力を下げるといいます。
ただ、まったくストレスのない生活を送るのは難しいですよね。仮に病気になったとしても、病院での治療を受ける前に自分でできることもあるんです。体を温めたり、整体をやったり。僕のクライアントで糖尿病になった方がいて、インスリン療法をすることになっていたのですが、自分で集中的に体を温めるなどのケアをして、結局やらなくていいことになりました。症状を軽くするとか、患部を小さくしておけば、手術をするにしても小さく切るだけですむ。ほとんどの人はそれもせずに、たとえばがんが最大化したところで医者に飛び込むからごっそり切られてしまう。
――補完的な治療にしても、自分に合ったものを見つけるのはむずかしいですよね。
厄介なのは、安くて理にかなっている昔ながらの治療法ほど検索で簡単にはわからないということです。「これで治った」と言うと「そんなので治るわけない」と叩かれるから、やっている人は隠密行動で、治った事実は口コミだけでしか広がっていかないんです。
あとこれは非常に言い方が難しいのですが、信じてやるから治る、という部分もあるんですね。信じることで自己治癒力が高まった結果として治ったのに、それで高いお金をとる人は信用できません。信じることは治癒力を高めるのは確かです。だから西洋医学がいちばん効くと信じている人はそれをやればいい。この本でも三大療法(手術、放射線、抗がん剤)を否定はしていません。ただ、西洋医学的な見地から「科学的に根拠がない」といわれるものであっても、役立つものはあるということです。
――9つの実践項目のひとつに「治療法は自分で決める」というものがあります。神田さんはご自身で治療計画を立てられたわけですが、この部分は相当ハードルが高いのではないかと思います。
僕の場合はたまたまトレーニングを積んできているので、仕事でやっているのと同じようにストーリーをつくり、目標設定をし、それに向かって行動することができました。「病気のある現実」から「ない現実」にシフトするストーリーをつくって行動に移すのです。
長年この手法を自分で実行したり人に教えたりしてきて思うのは、どうやら自分にとって「都合のいい現実」は努力したから実現するというよりも、物語の力を使って別の次元にシフトすることによって起きると考えたほうがしっくりくるということです。
いまはインターネットの時代なので、本気で調べ始めたら、すぐに自分でストーリーを描き、それにしたがって行動して、あたりまえのようにがんが治っている人たちが少なからずいることがわかります。そういう人たちのネットワークがある。そういう人たちのいる場に自分を置けば、考え方も変わっていくと思います。
経営コンサルタント。上智大学外国語学部卒業。ニューヨーク大学経済学修士。ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験に合格、4年次より外務省に勤務。その後、戦略コンサルティング会社、米国家電メーカー日本代表を経て経営コンサルタントとして独立。ビジネス界だけでなく、出版、教育などさまざまな分野で指導的役割を果たしている。『全脳思考』(ダイヤモンド社)『2022-これから10年、活躍できる人の条件』(PHPビジネス新書)、など、著書多数。訳書を含めた累計出版部数は250万部を超える。最新刊は『ストーリー思考』(ダイヤモンド社)。