大学4年のときから2年間、私は教材をセールスする訪問販売のアルバイトに精を出した。目的は、大学を卒業後、会計士の資格取得のために専門学校に通う費用を捻出するためだった。

バイト代は売り上げの1割。いわゆる「完全歩合給」というやつである。経験豊かなプロでも月150万円売れれば御の字といわれるなか、私は月平均300万円を売り上げた。そして、会社内で “売り上げ四天王”の1人としてもてはやされ、学生でありながら、新設の営業所の副支店長にも抜擢された。

そのポストに就いて一番学んだことが人の動かし方だった。もっとわかりやすくいえば、販売員を上手くマネジメントして、売り上げアップを図っていく方法である。副支店長の給料は営業所全体の売上高に応じて決まる。販売員のお尻を叩くことが、仕事のすべてだった。

(高橋晴美=構成 ライヴ・アート=図版作成)