改革すべき「霞が関的価値観」とは?

河村さんたちが考えているのは労働時間の問題だけではありません。霞が関的な働く価値観の改革も考えています。

改革すべき価値観として、例えば、「役人たるもの、すべての時間を仕事に捧げる覚悟でなければいけない」「完成度を高める or リスクをゼロに近付けるためには、どこまでも努力しなけれはばならない」などがあがっています。

これも「日本人的仕事の価値観」という意味では霞ヶ関に限った話ではありません。例えば内部資料を完璧に作ることが、本当に生産性につながっているのか?

テレビ局で「ワーク・ライフバランス」の番組を作る人が「一番寝ていない」のはなぜか?

この提言は、優秀な官僚が作っただけあって、残業前提のハードワークな職場の方たちのための持続的な働き方へのヒントがたくさん入っています。

まず女性同士で集まる。悩みを共有する。課題を洗い出す。提言を作る。みんなに言ってみる。応援してくれる人を見つける。根回しする。

最後にワーク・ライフバランス社の小室さんが、年配の上司に話すときは「育児だけでなく、まず介護を前面に出すといいですよ」とアドバイスされました。

とにかく言ってみれば、何かが起こります。

「時代の追い風が吹いている。今やらないとだめなんです」と河村さんは決意をこめて語ってくれました。

「持続可能な霞が関に向けて -子育て等と向き合う女性職員の目線から-」
 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/teigen1.pdf

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、昭和女子大女性文化研究所特別研究員、大学講師
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)