私だけじゃなかった! という気づき

その中心メンバーである河村のり子さん(39歳 入庁16年目)を取材していたので、ご案内をいただいてシンポジウムに参加したら、定員200名のところに250名もの人が集まりました。この熱気を肌で感じて、「働き方」問題への関心の高さがよくわかりました。女性だけでなく、男女比も半々ぐらいでした。

参加者は改革を提案した女性官僚有志のうちの4人と英国駐在の経験がある男性官僚、財務省の高田英樹さん。そして基調講演はワーク・ライフバランス社の代表取締役社長の小室淑恵さんでした。

まずは小室淑恵さんが「人口ボーナス期と人口オーナス期では、求められる成果が違う」という非常に興味深いプレゼンをされ、その後、河村のり子さんが、この提案に至った経緯を説明。きっかけは「女性研修」だったそうです。各企業が女性活躍推進の掛け声の下、女性を集めた研修をやっているのですが、なんと霞が関では初の試み。そこで出会った同世代の女性官僚たちは省庁の垣根を超えて、初めてつながることができたのです。

「悩んでいるのは、私だけじゃなかった」

そのことに気づいた彼女たちはアンケートをとり、「子どものいる女性職員の場合、アンケート回答者のすべて(100%)が、仕事と家庭の両立について『困難や不安を感じたことがある』と回答しており、うち約6割は困難や不安を『強く感じたことがある』と回答している」ことがわかってきます。

この話は民間企業にも大いに参考になります。

会社にワーキングマザーが増えたとはいえ、それぞれの部署にポツン、ポツンといるぐらいです。そういう女性たちを一堂に集めてみると「私だけじゃなかった」という共有が起き、そこから「待っていても何も変わらない」「何かやろう」という声が生まれるのです。