仕事は人生に組み込むもの

私の仕事道具:ステープルズ社の手帳を愛用。取り外し、入れ替えが簡単で重宝している。

私は個人的には「ワークライフバランス」という言い方は好みません。それは仕事と人生をきれいに分けて等価にするようなイメージだからです。

私の実感からいえば、仕事は人生に組み込むものです。自宅に仕事を持ち帰り、リビングでパソコンに向かうこともたびたびあります。「これから仕事だから話しかけないで」と言って、テレビを観る娘たちと一緒に居ながら仕事をします。これは一般的なワークライフバランスとは違うでしょう。もちろん、一緒に旅行したり遊んだりするときは仕事のことは忘れますし、クラブ活動の試合などは応援に行きます。どうしても仕事で子どものイベントに参加できければ、前もってちゃんと話して納得してもらい、どこか別のところで埋め合わせするのです。

そうでなければ、女性でも男性でも仕事で与えられた自分の役割を全うすることはできません。

「もっと高いお給料は欲しいけど、責任ある役職に就きたくない、エキスパートを目指して血がにじむ努力なんてしたくない」

そういう“いいとこ取り”はありません。ここに男女の違いはないと思います。

マネジャーになってから自分の仕事は、部下やチームを光らせてあげることだと考えています。会社から高い目標が与えられると、自分がどれだけ盾になって部下と一緒に結果が出せるかが問われる。そこの頑張りがあるから、「この上司についていきたい」と思われる上司になれるのだと思います。

いま目標としているのは、優秀な部下の中からアジアや世界で力を発揮するブランドマネージャーが育ち、更に上の立場へ成長していってくれることです。もちろん機会があれば、私自身もまた海外へ出て世界で活躍したいと考えています。

伊田欣司=構成 向井 渉=撮影