母娘3人でのアメリカ赴任
2006年にP&Gのアメリカ本社に勤務することになり、わが家は再びスプリット・ファミリーになりました。小学校に入る長女と4歳になろうとする次女を伴っての海外母子赴任です。
そこには、神戸に赴任するよりもいいと考えた理由があります。私が働きながらでは、どうしても子守りなどのサポートが必要となる。その場合、日本国内よりアメリカのほうが、お金はかかるけれどベビーシッターなどのサポート体制がはるかに充実しているのです。
私としては、アメリカ本社で経営陣がどのように意思決定しているのか、この眼で見て勉強したいという気持ちがありました。だから主人には「2年か3年で日本に帰るから」と話して出発したのです。
シンシナティの本社では、ペットケアのグローバル戦略を担当しました。犬や猫の商品は、国による大きな違いはありません。体格の違いぐらいです。面白いことに、ペット向け商品は、私たち人間のトレンドを追いかけます。例えばオーガニック食品が人間で流行れば、ペットフードにもそのトレンドはいずれ訪れるということです。
ちょうど赴任から3年目の2009年、グローバル規模での組織変更があり、日本を含むアジアの商品開発やマーケティングの統括拠点が、シンガポールに集約されました。私のキャリアではシンガポールに移ることも考えられましたが、アメリカの上司から「もう少しいてくれ」と言われました。当初2~3年のつもりが、結局は約7年間のワーキングビザをほぼフルに使って2013年までシンシナティの本社で働くことになります。その間に1年ほど主人がアメリカ駐在となり、シンシナティとは車で行き来できる距離でしたから、家族のスプリットが少し縮まった時期もありました。