定年後、どんな街に暮らすのが幸せか──。そこには医療、地域コミュニティ、交通利便性などが大きくかかわってくるものだ。東西の不動産のプロたちにお勧めの町を聞いてみた。
調査概要/関東1都3県、関西2府4県在住で不動産業に携わる人各100人、合計200人を対象にインターネット調査。アイブリッジの協力により、2012年9月20~25日に実施。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/13005)

都心部での狙い目は湾岸エリア

具体的なエリアの住みやすさは、「住環境」「遊び」「医療」「食」「快適さ」「安心」の6つのキーワードで判断するといいでしょう(図2参照)。現役世代なら、ほかに「職場」からの近さと、子どもの「学校」を考慮しますが、リタイア後の住む場所選びなら、この2つは重視しなくてもいい。

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図2 老後住みやすい町がわかる! チェックリスト

まず最初の「住環境」は、居住快適性の高い住宅を予算内で買える、または借りて住めるかどうかという視点で判断します。都心に近くて生活利便性の高いところは、物件の価格も高くなります。ただ、東京の都心部のマンションは、極端に古かったり耐震構造に問題がある物件でないかぎり、ある程度の価格で売却することが可能です。ある程度の資産価値が見込めるなら、最終的に一人になったときに自宅を売却してケア施設に入るという選択もできます。一方、地方圏の不動産は価値が落ちやすく、いざというときに売れない可能性があります。そうした市場性を考慮すると、都心部のマンションを買う選択肢は道理にかなっているといえます。

賃貸の場合はどうでしょうか。都心部は家賃が高いので、年金生活ではとても住めないとあきらめている人は多いかもしれません。ただ、都心部には公的な賃貸住宅のストックが豊富にあり、リーズナブルな家賃で借りることもできます。

とくに湾岸エリアは公的な賃貸住宅が多く狙い目です。また、自治体によっては高齢者への家賃補助を行っているところもあります。こうした制度をうまく活用すれば、年金生活者だからといって都心部を選択肢から外す必要はありません。