1つの会社で長く続かない人には、何かの理由がある

4年間は、大手金融機関の関連会社で派遣社員として働き、生活費や学費を稼ぎつつ、大学に通った。

「職場の上司などは、“阿部さん、大学に通っているの?”と始めは驚いていたみたい。講義には、ほとんど休むことなく出席した。成績はほかの学生と比べてもよかったはず」

29歳のとき、卒業した。周囲からの扱いが大きく変わったようにみえたという。

「高卒で働いていた頃と大学を卒業した後では、世間の私をみる目が違う。高卒でアルバイトや派遣社員をしていた頃は、きちんとした会社で正社員になることが難しかった。収入は少なく、不安定で、借金もあったから、自転車操業の日々。貧乏だったな……。大卒になると、企業研修で有名な人材教育会社に正社員としてさっそく入ることができた」

人材教育会社(当時の社員数200人)で、現在の会社(株式会社新規開拓)の社長と知り合う。

社長は当時、営業をしていた。他を圧倒するほどの契約件数や売り上げのトップセールスだったという。人材教育会社を退職し、新たに会社を興す。創業メンバーとして誘われた。迷うことはなかった。

創業10年の今は、クライアントに大企業や中堅企業などが多数並ぶ。社員は25人を超え、東京駅前の巨大なビルにオフィスを構える。

阿部さんは、管理部長として会社の様々な業務を行う。新卒や中途の採用を始めとした人事、経理、さらには営業の支援、講師などもする。

中途採用試験をする際は、人事の責任者のひとりとして、エントリーした人の職務経歴書や履歴書を隅々まで慎重に確認する。

「キャリア採用だから、やはり、職歴を重視する。学歴は、参考程度の扱い。転職の回数には、注意を払う。例えば、30代前半で、うちにエントリーするのが4社目ならば、転職がやや多いように思える。1つの会社で長く続かない人には、何かの理由がある。面接試験をするならば、そのあたりは聞くことにしている」