うんちくを言いたくなるのをグッと我慢する

以前、知り合いの社長との会食で、ある有名なステーキ屋さんに行ったときのことです。

小山薫堂『初老の作法 老いるを楽しむ50のアイデア』(プレジデント社)
小山薫堂『初老の作法 老いるを楽しむ50のアイデア』(プレジデント社)

普通であれば、前菜を食べて、スープを飲んで、サラダを食べて、魚を食べて、そして最後にステーキを食べるというのがコースの順序ですが、その社長はいきなり「ステーキから食べたいんです!」とお店の人にお願いしていました。

「いきなりステーキから行くんですか?」と私が聞いたら、「お腹が空いているときに一番うまいもの食うのが最高じゃないですか」と言うのです。あれはカッコいいなと思いました。

特に年をとってくると知識量も増えるから、何かとうんちくを言いたくなってしまう。それをどれだけ我慢できるかが、初老の作法だと思います。

座る位置でも“おもてなし”は可能

たとえば寿司屋さんの大将は、意外とお客さんの話に耳を傾けているものです。「この人、またうんちく言っているよ」って思われたくないでしょう。

寿司屋さんは、客の会話によって客の本質を見ているものと言うようですけれど、一方で、あまり気にすることもないかなと思います。

そんなに気にする必要はない、という自分と、気にしないとイヤなじじいになっていくのではないか、と心配になる自分とが、寿司屋さんのカウンターで揺れ動いています。自分とのせめぎ合いです。

もうひとつ、女性と寿司屋さんに行ったときは、女性は自分の左側に座ってもらうようにしてください。お酒を注いであげるときに注ぎやすいからです。左利きの人は、逆になりますけど。

小さな気づかいをする自分と、しない自分とのせめぎ合いも、また初老の楽しみですね。