突出していた仮説・検証による「単品管理」
この情報の重要性を、半世紀前のセブン‐イレブンの創業時から早くも認識していたのが鈴木さんでした。
その経営手腕として突出していたのは、情報の商品化の仕組みとして「単品管理」という独自の手法を生み出したことでしょう。顧客ニーズを察知させる情報をもとに、単品ごとに売れ筋の仮説を立て、発注し、結果をPOS(販売時点情報管理)システムのデータで検証する。この仮説・検証により、お客様が求めるときに、求めるものを、求めるだけ提供することで、機会ロスと廃棄ロスを最小化して売り手としても利益を得ていく。
この単品管理を徹底するには、すべてをお客様の視点で捉えるお客様第一主義でなければなりません。お客様第一主義を標榜はしていても、実行がともなっていない企業が少なからず存在するなかで、鈴木さんはお客様第一主義を全組織をあげて一貫して追求しました。トップとして「常にお客様の立場で考える」ことを全社員、全店舗に求め、「変化への対応と基本の徹底」という経営の原理原則を唱え続けました。
大会社にならないように腐心
鈴木さんの経営の特質は、トップとしてのメッセージを発し続けるとともに、それを徹底させるため、事業の細部にもこだわり、常に現場に目を向けたことでしょう。
企業は大会社になるほど、経営が現場から遠ざかり、トップも組織の上に乗っているのがトップであるかのように思いがちです。それに対し、セブン‐イレブンの企業規模がどんどん拡大しても、鈴木さんはいわゆる大会社にならないように腐心していたように思えます。
加盟店の経営をサポートする現場の第一線の社員を本部に集めて、フェイス・トゥ・フェイスのダイレクト・コミュニケーションで経営の基本を繰り返し語っていました。また、本部主導の画一的なチェーンストアの店舗運営ではなく、個々の加盟店が地域に密着した個店経営を目指すように推進したのも、本部と現場の加盟店が対等な立場であること明確にし、自社が大会社にならないように意図していたのではないでしょうか。

