安全確認をせずボート活動を導入
同志社国際高校の独自プログラムは、少なくとも30年ほど前から存在していたという。長年の人間関係や信頼関係を通じてつくられた活動には、学校ならではの教育的価値もあっただろう。問題は、その延長線上に、2022年度からボートで海上に出るという実践が加わったことである。
辺野古エリアでは、以前から地元住民の話を聞いたり、海岸を歩いたりする活動がおこなわれてきた。そうした経緯のなかで、2022年7月、下見中の教員2人は、今回の事故で死亡した船長とホテルで面談した。その席で初めて、船長から、ボートに乗って海から新基地建設現場を見る活動を提案されたという。下見に同行していた旅行代理店の担当者とは、その前に別れており、面談は教員だけでおこなわれた。
教員2人は、船長からの提案を教育的意義があると考えて学校に持ち帰り、同年9月には辺野古沖での海上活動の導入がすんなり決まった。しかし、実際のボートを確認したり、現地で航路を確かめたり、海上運送に必要な法令上の手続きを確認したりすることはなかった。
同志社国際高校だけの問題ではない
こうして以前から実施してきた講話や海岸散策などの延長線として、ハイリスクな乗船活動が、安全確認の仕組みをともなわないまま、辺野古コースに組み込まれたのだった。
2024年に発行された、子どもや若者の旅行・校外活動におけるリスク管理の国際規格「ISO 31031」では、すべての旅行に同じ水準のリスク評価・管理が必要なわけではなく、旅行や活動ごとのリスクに応じて管理の水準を調整する考え方が示されている。また、リスクが許容できない場合には、旅行を実施すべきではないことも示されている。ところが同校では、活動のリスクが質的に変わったにもかかわらず、安全管理の仕組みを切り替えなかった。
この問題は、同志社国際高校だけの特殊事情とはいえない。琉球新報の記事(7月4日付)によると、事故で亡くなった船長は、東京都内の中学校と高校の修学旅行における海上見学を個人的に受け入れていた。また、『Business Insider Japan』(3月26日付)によると、複数の大手旅行代理店に取材した結果、学校と関係の深い人物に講話を依頼するなど、学校独自の手配が組み込まれるケースは他でも実際にあるという。こうした学校独自のプログラムが一部にあるとしても、その部分だけを旅行代理店の安全確認から切り離してはならない。

